佐藤浩市&寛一郎、親子で登壇!黒木華(主演)、池松壮亮、阪本順治監督映画『せかいのおきく』完成披露試写会
2023年4月5日、テアトル新宿にて、映画『せかいのおきく』完成披露試写会舞台挨拶が行われ、黒木華(主演)、寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市、原田満生(企画・プロデューサー/美術監督)、阪本順治監督が登壇。寛一郎と佐藤浩市は親子での舞台挨拶登壇となった。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
動画概要欄には見どころチャプタータイムを記載しています。
■テキストレポート
黒木華(おきく 役)
こういう作品があるよって、原田さんと阪本順治監督からお声をかけていただいてから3年が経ち、やっとこうして皆さんに観ていただけることができて本当に嬉しく思います。
寛一郎(中次 役)
今、黒木華さんが言った通り、最初に撮ったのが3年前のラストシーンからなんですけど、そこからも3年経ってこうやって劇場で公開することができて本当に嬉しいです。
佐藤浩市(源兵衛 役)
今日はありがとうございます。ちょっとこの並びは(息子の隣で)嫌なので、代わってもらえますか?ちょっと恥ずかしいんですけれども(笑)
この作品は、見たことがあるようで全く見たことがない、そういう時代劇になったと思います。是非皆さん広めてやってください。お願いします。
-原田さん、この作品を企画・制作されたきっかけは?
原田満生(企画・プロデューサー/美術監督)
プライベートの話になっちゃうんですけれども、4年ほど前に自分が大病を患う時期があって、さらに世の中がコロナ禍になって価値観もほぼ崩壊して、これからどうやって生きて映画と向き合っていこうかなと考えてた時に環境問題を学者の方と話す機会があって、こういうテーマを映画の中にちりばめて作品を作って伝えていきたいと思い、その第1弾の映画としてのこの『せかいのおきく』を阪本さんにお願いに行きました。
-スタートがそこからということですが、本作に込めた思いをあえて言葉にするとどういったことになりますか。
原田満生
やはり頭でっかちにならないように環境問題とかじゃなくて、人間のドラマをちゃんと描いてほしいということと伝えていくことがプロジェクトのテーマの一つでもあるので、持続しながら伝えていきたい。あとは分かりやすく、シンプルにテーマを皆さんに伝えるようなことを思いながら作っていただきました。
-それを受けた阪本監督は、どのように脚本をお作りになりましたか?
阪本順治監督
循環型社会というテーマを背負いつつ、僕自身がその啓蒙的な作品というのは苦手というか、自分自身が何か環境問題とかに意識を持って毎日生きてるわけじゃないんで。やるのであれば「うんこならします」と言って最初に書いたあらすじのタイトルが「江戸のうんこ」(笑)
でも、(黒木)華ちゃんを迎えることになってすぐ取り止めました(笑)
うんこだけがテーマじゃなく、淡い恋愛も含めた娯楽作にしなきゃいけないと思って。でもコロナ禍で僕自身が鬱々としてたんで、“ヤケクソ”で撮りました。
あまりウケなかったな(笑)
いや、本当にクソ真面目に撮ったんです。まだダメでしたね(笑)
-ロッテルダム国際映画祭のプログラマーの方が「今までの時代劇にはない全てがある」と賞賛をされてますが、このような評価を受けたポイントはご自身でどういったところだとお考えですか?
阪本順治監督
“良いうんこ”に尽きるんじゃないですかね(笑)
海外の人の思う時代劇は、やっぱり侍が馬に乗って街道を駆け抜けてるみたいなイメージが大きいと思うんですけど、なかなかこういう地べたの最下層の人間たちも含めて主演にした映画というのは今まで見たことがなかったから、そのように言ってもらえたのかなと思います。
-黒木さんはこれまで数々の名作に本当にご出演されていますけれども、その中でも『せかいのおきく』は、ご自身にとってどういった作品になりましたか?
黒木華
手話がまだ無い江戸時代で喋れないという役でしたので、それは初めての経験でした。何をどういう風にすれば、この気持ちを伝えられるだろうっていうことをすごく考えた作品だったので、それは自分の中で新しかったです。
-寛一郎さんは本作の役をどう捉えて作品に向き合われましたか?
寛一郎
まず、環境問題については僕も普段特に考えたことはありませんでしたが、“うんこと食”という人の中で回っていくものには興味はあったので、原田さんや監督と話し合いながら一緒に作っていきました。
役については、阪本監督は(僕に)当てて書いてくれたということで、僕の解釈の“中次”は、ある世代の代表的な人物像、矢亮(演:池松壮亮)も源兵衛(演:佐藤浩市)も孫七(演:石橋蓮司)も、ある世代の何か代表的な人たちで、その人たちの立ち位置みたいなものは僕は考えてたつもりではいました。
-企画・プロデュースの原田さんは本作含むプロジェクトを通して、次の世代につなげていきたいという思いで映画を作られたということです。池松さんは、それについてどんなことをお感じになってらっしゃいますか?
池松壮亮(矢亮 役)
この企画が第1本目となりますが、やはりとても素晴らしい取り組みだと思います。自分たちがやっている映画を通して伝えるということ。それから社会にある問題、そういうものをちゃんと結びつけられることができるんだっていうことをこの映画でまず見せていけたことは、とても素晴らしいなと思いますし、とてもいいタイミングで参加できて楽しかったです。
-佐藤さんは完成した作品をご覧になっていかがですか?
佐藤浩市
この作品を海外に持っていくというのは面白いなと思いました。こんなこと言っていいかどうかわかりませんが、映画祭によってはこういう作品を受け入れないところもあり、一方で受け入れてくれるところもあり、そういうところがとても面白いなと思いました。
-海外ではステレオタイプな日本の時代劇の表現を求められることもありますからね。
佐藤浩市
そうです。
-黒木さん、寛一郎さん、池松さん、撮影で印象深いことはありましたか?
池松壮亮
さっき、(舞台挨拶前に劇場の)トイレに行ったら、そこに黒木さんがいたのでちょっと恥ずかしかった(笑)
黒木華
私の写真が貼ってあったということで、私がそこにいたわけじゃないですけどね。なので(池松さんのは)見てないです。(※)
しかも撮影の時の話じゃないですね(笑)
(※テアトル新宿の男性トイレには、各小便器ごとに作品のポスタービジュアルや場面写真などが貼られている。)
池松壮亮
撮影のエピソードで言うと、うんこがかかるところがけっこうあったから、撮り終わって最後(寛一郎と)二人でお風呂でうんこを流すまでが1日でした。
寛一郎
そうなんです。京都の撮影所のお風呂で一緒に風呂を入って毎日帰るのが日課でした。
池松壮亮
しかもあれちょっと臭いんですよ。やっぱ発酵させてるので、嫌な匂いがするんですよね。
原田満生
(うんこは)ダンボールで作ったり、麩で作ったり。
-印象的なシーンで言うと、寛一郎さんと佐藤浩市の親子共演シーン。重要なセリフもありました。
佐藤浩市
壁を隔てての会話は、映画の表現としては、大概叙情的であったり、何か刹那的な最後の別れであったり、そういうシーンが主なんですよ。
でも今回は、片や厠でいきみながら、そしてそれを待っている男。それが(台本上)数ページにわたって会話をするというシーンがとっても面白くて、僕は、最後拭くところ、前から拭くか後ろから拭くどっちでかっていうのを監督と話しながら、もう本当に楽しかったですね。で、本より少し長く気張らせてもらったので(笑)
そして、会話の最後に“世界”という括りになっていく。自分は、結局世界から置いていかれていく、日本人の武士として最期を迎えるわけで、何かそこのところが非常に面白かったです。
-小さい世界なんですが、人も物も循環してるっていうのが見えてきたとてもいいシーンでした。
個人的に思う100年後にも絶対に残っていてほしいもの
-本作は、江戸時代の命の循環を描いております。現代、そして未来へ大切なテーマを運んでいる作品でもありますが、キャストの皆さんに個人的に思う100年後にも絶対に残っていてほしいものを考えいただいています。
黒木華
「映画・舞台」
最近は、舞台でもロボットがお芝居をしていたりだとか、AIで作っている映画とかもあるみたいで、それはやっぱり(役者を)やっている身としては100年後も(人間が作る映画や舞台は)残ってたら嬉しいなと思います。
特に舞台は、観に来てくれる人は限られているんです。映画に比べて値段も高いですし。なので劇場も少なくなってきていて寂しいなと思うので残ってほしいなと思います。
寛一郎
「DNA」
これは、今回のテーマでもある人を受け継ぐっていうことでもありますし、真横に父がいるのであれですけど、この忌々しいふざけた佐藤家のDNAを100年後も残していきたいなということで、これら僕も頑張りたいと思います。
佐藤浩市
(忌々しいって)コラッ!
池松壮亮
「平和」
この言葉のとおりです!
佐藤浩市
「劇場」
凡庸な答えで申し訳ないですけど、役者に尋ねられたら、やっぱりこういう答えになっちゃうんですよね。
正直言って、100年後は、今のように隣の人と一緒に劇場で映画や舞台を見るということが無くなっているんじゃないのかなって思うんです。みんな、個人の環境で観ていると。そういう時代の人々は「えっ?昔は他の人と隣合わせで観てたんですか?」って思うようになるかもしれない。そうなると寂しいと思います。
最後にメッセージ
阪本順治監督
3年前、原田さんの自主制作のような形で、10分ほど撮りました。そして、2年前にまた10分ぐらい撮ったんです。
昨年、映画業界からは全く無視されたんですけども、業界と関係のない方から出資を得まして、昨年追加の撮影ができて、今日ようやくお披露目できることになりました。
僕だけじゃなくて、スタッフ含めて、そういったことを乗り越えた3年間だったんで、今日、みなさん観ていたけるということは、泣きはしませんけれども、結構泣きます。結構感動しています。これからもこの作品どうか広めていってください。ありがとうございます。
黒木華
愛と希望の詰まった作品ですので、いろんな方にお勧めしていただけたら嬉しいなと思います。
■フォトギャラリー
[動画:三平准太郎/写真:川尻敏晴]
映画『せかいのおきく』
貧しい時代、〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を鮮烈なモノクロ映像で描く、
新たなる日本映画の誕生!映画『せかいのおきく』劇場公開決定!
【概要】
日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次と、下肥買いの矢亮と出会う。
武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。
人情の機微を見つめ続けてきた阪本順治監督が、貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、<人と人のぬくもり>と<いのちの巡り>、そしてひたむきに生きる若者たちを瑞々しく描く。
主演は、その卓越した演技力でもはや日本映画界に欠かせない存在となった黒木華。共演に、日本映画界の次世代を担う演技派の寛一郎と池松壮亮。さらに眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司らベテラン俳優が絶妙なアンサンブルを見せる。人々があらゆる物を大切に使い、人間の排泄物さえも肥料とし、限られた資源を使い尽くす<循環型社会>を確立していた江戸時代を舞台に、墨絵のように美しく、鮮烈なモノクロ映像で綴られる至高の日本映画が誕生した。
【物語】
日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(ちゅうじ)と、下肥買いの矢亮(やすけ)と出会う。
武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。
脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮 眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
(C)2023 FANTASIA
公式サイト:sekainookiku.jp
公式Twitter:@okiku_movie
「YOIHI PROJECT」公式サイト:yoihi-project.com
本予告
2023年4月28日(金) GW全国公開
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