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クシナ

小野みゆき「女の生き様が美しいリアルなファンタジー映画」。映画『クシナ』日本外国特派員協会記者会見

7月24日(金)公開の映画『クシナ』の記者会見が日本外国特派員協会で行われ、速水萌巴監督、稲本弥生、小野みゆきが登壇。海外メディアからの質問に、作品へ込めたテーマや撮影時のエピソードなどを語った。

本作の物語は日本で現代だが、人知れず存在する女だけが暮らす男子禁制の山奥の集落が舞台。そこの村長・鬼熊<オニクマ>を小野みゆきが演じる。
主人公は、本作のタイトルロールとなっている、奇稲<クシナ>という14歳の少女。ただし、演じた郁美カデールは、撮影当時9歳だった。
稲本弥生は、その閉ざされた集落に足を踏み入れる人類学者の風野蒼子を演じる。

本作は、監督自身の過去の体験に根ざした母と娘の物語を描いており、監督自身が早稲田大学大学院の修士制作作品として制作。その後、大阪アジアン映画祭2018に正式出品され、プロの監督の作品を抑え、JAPAN CUTS Awardを受賞した。
そして、北米最大の日本映画祭であるニューヨークのJAPAN CUTSに招待され、独特の感性と映像美によって支えられる世界観は海外レビューでも高い評価を獲得している。

クシナ

■母親がショックを受け、作品を封印していた

– 本作は数年前に撮影されて、今回の公開までに時間がかかっています。監督の中で、どのような進捗の変化があったのでしょうか?

速水萌巴監督
この映画は2016年に撮影、そこから完成するまでに2年間かかりました。
そして、2018年に映画祭に出品する機会があり、配給のお声も頂いていました。
でも、その時に受けたインタビューの内容(監督の実母との関係性をベースに描いた作品ということ)を私の母親が読みまして、すごいショックを受けて、「辛い思いをさせてたんだね」とか「育て方間違ったのかな」みたいなことを言われて。
私はそういうつもりで撮ったわけではないんですが、ちょっと目の前の母が苦しんでる姿を見て、少しこの作品との距離を取って、向き合い方が分かってから公開した方がいいなと思っていたんです。
なので、この2年間という時間を要しました。
そして、私の姉もこの映画を見たんですけど、姉はすごい号泣していて、やっぱり通ずるものはあったんだなっていうのは、姉妹の中ではあります。
この映画でも描いている母親と娘の間で食い違っていた部分は、確かにあったんだなって確信もしました。

速水萌巴監督

速水萌巴監督

■小野みゆき「今の映画を撮っている若い人たちと仕事をしてみたい」

– 小野さんが演じられている役は、事実上監督の母親的な存在として描かれていますが、出演を決められた理由について教えて下さい。

小野みゆき(集落村長・鬼熊<オニクマ> 役)
そもそも、自分自身が子供を作りまして、16年ほど撮影の仕事から離れていました。
そして久しぶりに出演のご依頼をいただけたわけですが、子供を育てている間は映画を観る方に回ってまして、私が知らなかっただけかもしれませんが、昔と違って面白い日本の映画が増えていると感じてました。
今の日本の面白い映画を撮っている若い人たちと仕事をしてみたいと思ったのが、この映画を引き受けた第一の理由でした。

小野みゆき

小野みゆき

クシナ

小野みゆき(オニクマ役)/郁美カデール(クシナ役)  (C)ATELIER KUSHINA

■稲本弥生「私はありえない」

– 稲本さんの役は、秘境に住んでいる“クシナ”という少女を現実世界へと引っ張り出す役柄です。その“クシナ”は幸せだったと思いますか?

稲本弥生(人類学者・風野蒼子 役)
そこは是非続編を観たいなと思います。
私自身、3人の子どもを育てている母ですが、もし、実際に自分から自分の子供がもぎ取られるっていうことを考えると、絶対ありえないことですね。
まあ、“クシナ”がいた環境が環境なだけに何とも言えないところはありますが。でも私はありえないです。

稲本弥生

稲本弥生

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稲本弥生(人類学者・風野蒼子 役)/小沼傑(後輩・原田恵太 役)(C)ATELIER KUSHINA

■インパクトのあるポスタービジュアル

– 本作のポスタービジュアルはインパクトがあり、物語のひとつの“核”になっているのだと想像します。このビジュアルがもともと頭の中にあってストーリーを考えられたのでしょうか?

速水萌巴監督
本作のストーリーの着想は、ロケーションハンティングをしている中で、誰もいない廃墟に一人、女性が帰ってくるっていうイメージが湧いてきたことにあります。それを終着点にこの物語を書き始めました。
このポスタービジュアル(クシナがポータブルステレオで音楽を聴きながら森の中で寝そべっている)のイメージは、撮影前に絵画などの画像検索をしている中で作っていったものです。

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■女だけの”男子禁制”のコミュニティ

– 本作に描かれている(女だけの)コミュニティを描こうとされた動機はなんだったのでしょうか?

速水萌巴監督
よく聞かれる質問なんですけど、コミュニティを最初に設置したわけではありません。
この物語の出発点は、お母さんと娘の物語を描きたいと思ったことです。
次に、その舞台を考えた時に、たまたまそれが森の中に行き着きました。
今の日本だと、若くして妊娠して出産している人たちに対して結構厳しい考えがあるので、生きづらさを感じてる人もたくさんいると思うんです。
そういう人がもし、死ぬつもりで山に逃げたとして、でも死ねずにそこに住み着いたとしたらその後どうなるだろう?って考えてみたんです。
例えば、日本には富士の樹海っていう場所がありますが、そこに死ぬつもりで逃げ込んだ女性が、こういうコミュニティを見つけたら、おそらくそこに住み着いていくんじゃないかなって、想像したんですよね。
それをベースに、キャラクターを作っていって、動かしていくことで物語を作っていきました。
それで、(私の中では)自然にこういう女性だけのコミュニティになったという感じです。

■キャラクターごとに色を決めた。

– それぞれのキャラクターに合うイメージの色で衣裳を選定されたそうですが、それは役者さんたちと相談しながら決められたのでしょうか?

速水萌巴監督
それぞれのキャラクターごとにカラーは決めました。
それは、この物語に登場するキャラクターたちは、その心境があやふやな部分がありますので、脚本の段階で、それぞれのキャラクターの役割をしっかり決めていく中で、色も決めていくようにしました。
ただ、私一人ですべてを決めたわけではなく、衣裳合わせの時には、小野さんも自前の衣裳を持ってきてくださって、スタッフと皆でその場でミックスして考えていきました。

– 小野さん演じる鬼熊<オニクマ> は、森の中にいる時は黒に近いダークな衣裳。でも街に降りる時は黄色いワンピースになります。これは、やはり街に溶け込むためにそのようにイメージチェンジされたのでしょうか?

小野みゆき
鬼熊<オニクマ> が町に出てく時に来たワンピースは、おっしゃるように街に溶け込むために着替えます。
ちなみに、本作での衣裳は、みんなありものなんです。
作品のために作ってなくて、監督がお家にあるものを持って来てるんです。
それでエキストラの形が着る着物も、出演者が塗っていました。
クランクイン前に、こういうイメージのお洋服ですっていうお衣裳の絵をいただいていたので、私はそれに合わせられるように、家にあるだけのマフラーとか、長い薄手のコートとか、そういったものを準備して。
けれど、ほとんど監督がお決めになりました。
一つ覚えてるのは、監督のお母様のワンピースを私が着て、でも(サイズが)小さくて(笑)
息ができないくらい苦しいのを着て、映像では普通にスタスタ歩いてますけど、実は疲れてました(笑)
このように、持ち寄った衣裳なので、逃げきた女の人たちのコミュニティ、集落だという意味でも、リアリティのある衣裳だと思っています。

クシナ

速水萌巴監督/小野みゆき

■こだわりのあるサウンドデザイン

– 本作は、音楽や音響など、サウンドデザインにも相当こだわりをもたれているように感じます。それは編集していく中で作品としての奥行きが広がっていったということはありますか?

速水萌巴監督
撮影の段階で、カメラマンと話し合って、なるべく物語を語る上で必要最低限のショット、意味のあるショットを撮っていこう決めました。
実際、現場で、都度その決断をしていくのかすごい大変でした。
このシーンはこれで成り立つ、いけるって思うんですけど、やっぱり編集の段階になると、足りなかったなぁと思うこともあり、すごい悩みました。
あと、現場の音がうまく録れてなかったっていうことがあって、半分ほどアフレコしました。
でも、そのおかげで、整音の方と話し合って、映画の舞台のサウンドデザインを考えるきっかけにはなりました。
ほとんど一から音を作らないといけない状況だったので、それが逆に作品を深めてくれたなと思います。

クシナ

稲本弥生/速水萌巴監督

■女性が強くたくましく、そして生き様が美しい。リアルなファンタジー映画

– この映画をご覧になる方にどういった解釈をしてほしいと思いますか?

稲本弥生
集落の外からやってきた部外者側として、女性しかいない村に足を踏み入れるっていう男性の目線であったり、村を壊さないように、壊さないようにしてるのに、自分が一番壊してしまったりとか。
いろんな人の愛の形がありますので、自分の目線で楽しんでいただけたらなと思います。

小野みゆき
私が20年前、女優として働いていた頃は、女性とはあまり意志を持たない弱い生き物で、男の人が守らなければいけないというように描かれていました。
当時、20代・30代だった私は、女性をそういうステレオタイプにはめることがとても気持ち悪かった。
けれども、この映画を見ると、女性とは、可愛い、可愛いという対象だけではなく、強い部分もあるんだと、見方が変わる変わるかもしれません。
こんなに女の人が強くて逞しくて、そして生き様が美しいということが感じられる、リアルなファンタジー映画かなと思います。

速水萌巴監督
私たちは、人生の中でいろんな決断をしていくわけですけど、その中で愛によって決断する事っていうことも、何回か訪れてくると思うんです。
その愛を伴った決断というのは、すごい力強いものだと思っています。
ただ、その愛っていうものが他者に対して自分が思うように届いてるのかっていうのも分かりませんので、そのことを考えてほしいなという思いがあります。
そして、私はファンタジー映画が好きで、世界中のファンタジー映画を見て育っているんですが、日本にはあまり目立ったファンタジー映画無いなと。
ですので、低予算ではあるんですけど、この映画でもうひとつやりたかったことは、低予算ではあるんですけども、せっかく日本にはいろんな風景・文化・物語あるので、それをもっと活かしたファンタジーを描くことです。
これから、どんどん世界に輸出していけたらいいなっていう思いで、そのエッセンスが多くの人に伝わればいいなって思いでこの映画を作りました。

クシナ

稲本弥生/速水萌巴監督/小野みゆき

映画『クシナ』

あらすじ
深い山奥に人知れず存在する、女だけの”男子禁制”の村。
村長である鬼熊<オニクマ>(小野みゆき)のみが、山を下りて、収穫した大麻を売り、村の女達が必要な品々を買って来ることで、28歳となった娘の鹿宮<カグウ>(廣田朋菜)と14歳のその娘・奇稲<クシナ>(郁美カデール)ら女達を守っていた。
閉鎖的なコミュニティにはそこに根付いた強さや信仰があり、その元で暮らす人々を記録することで人間が美しいと証明したいと何度も山を探索してきた人類学者の風野蒼子(稲本弥生)と後輩・原田恵太(小沼傑)が、ある日、村を探し当てる。
鬼熊<オニクマ>が、下山するための食糧の準備が整うまで2人の滞在を許したことで、それぞれが決断を迫られていく。

郁美カデール
廣田朋菜 稲本弥生 小沼傑
佐伯美波 藤原絵里 鏑木悠利 尾形美香 紅露綾
藤井正子 うみゆし 奥居元雅 田村幸太
小野みゆき

場面カット

監督・脚本・編集・衣装・美術:速水萌巴
撮影:村松良  撮影助手:西岡徹、岩田拓磨  照明:平野礼 照明助手:森田亮  録音:佐藤美潮  整音:大関奈緒  音楽:hakobune 
ヘアメイク:林美穂、緋田真美子  助監督:堀田彩未、佐近圭太郎、宮本佳奈
制作協力:村上玲、小出昌輝  協力プロデューサー:汐田海平
配給宣伝:アルミード
(C)ATELIER KUSHINA
2018 / 日本 / カラー / 70分 / アメリカンビスタ / stereo
公式サイト:kushinawhatwillyoube.com
公式Twitter:@kushina_cinema
公式Facebook:kushina.cinema
公式instagram:@kushina_after_4years

予告編

7月24日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

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