自らの肉体の変化によって愛する人を殺してしまった少女。映画『歯まん』公開初日舞台挨拶
3月2日、日本映画界の新たなる異才・岡部哲也監督の最新作『歯まん』の公開初日舞台挨拶がアップリンク渋谷にて行われた。
本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭をはじめ、モントリオール世界映画祭、シッチェス映画祭など数々の映画祭に招待され受賞も。
監督の最初の構想から14年を経て迎えた公開初日の舞台挨拶は笑いに包まれた。
私は初めてのSEXで人を殺した。愛する人を
映画『歯まん』は、『生と性と愛』がテーマのダークファンタジー。自らの肉体の変化によって愛する人を殺してしまった少女の悲痛な叫びから、愛とはなにか?生きるとはなにか?という普遍的な問いかけを観客に突き付けてくる作品。
『ハード・コア』(18)の山下敦弘監督、塚本晋也監督作『斬、』(18)で主演を務めた演技派俳優・池松壮亮など映画界の著名人からも多くのコメントが寄せられている注目作。
監督にはフリーの助監督として中村義洋、豊島圭介、三池崇史、山下敦弘など多くの監督の作品に従事し、本作が初監督ながらも国内外の映画祭で大きな注目を集めた日本映画界の新たなる異才の岡部哲也。
禍々しくも繊細な愛と性を切り取った、ファンタジック・ラブストーリー。
舞台挨拶レポ
時代がようやく『歯まん』に追いついた
過激な設定の本作のオファーを受けて
– 過激な設定のこの作品のオファーを受けた時いかがでしたか?
前枝野乃加
脚本を読ませてもらった時にこの作品は、コメディなのか真面目な作品なのかどちらなんだろういうのが正直な感想でした。
文字で読むと「性器に歯が生えた」というのはインパクト強いですが、実際に撮影現場に入って演じていくうちに、ある意味リアリティというか自分自身のこととして感じられるようになってきたので、それは多分岡部監督の演出のおかげだったりすると思うんですけど、
突拍子もないはずの設定がだんだん日常に落とし込まれていくのを感じながらやっていました。
– “歯まん”を持つ恋人の相手という役柄はいかがでしたか?
小島祐輔
僕の役は、前枝さんの役とは対照的でまっすぐで誠実な男性で、前枝さんがどう映るかというのを考えて、ナチュラルに演じるようにしました。とにかく完成映像が楽しみでした。
完成作品を観て
– 前枝さんは完成した作品を観ていかがでしたか?
前枝野乃加
撮影終わってから、完成作品を2014年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭(以下、ゆうばり映画祭)で観るまで2年くらいあったので、なんか変な感じでした。だいぶ前に撮ったような、でもついこの間撮ったような。
小島祐輔
最初観た時は、役者としてもっとこれができたなとか思うんですけど、3回目ぐらいからシンプルにお客さんとして観ることができて、真面目にやっているとこにクスってなったりとか、観れば観るほど味が出てくるなと僕なりに思いました。
“歯まん顔”?が器用のきっかけ
– ヒロインの前枝さんの起用のいきさつは?
岡部哲也監督
事務所のホームページを見て声をかけさせてもらって喫茶店で面接をしたんです。
その時洋一役をやった中村君とエチュード(即興劇)で喧嘩をやってもらったら、ボロボロ泣きながら相手の言ったことに反応して。で、終わったらケロっと明るい顔をして。器用で根が明るくて、“歯まん顔”だなと(笑)
少女性もありながら、妖しさという部分も持ち合わせていて、いろんな表情を持っているのが良かったと感じたからです。
– 撮影現場での前枝さんはいかがでしたか?
岡部哲也監督
シーンごとに表情がぜんぜん変わってて、面白いなと思いました。
とにかく寒かった撮影現場
– 撮影の時、大変だったことはありましたか?
前枝野乃加
大変だったことしかないって言えばそうなんですけど、とにかく寒かったです。今と同じ時期の撮影で、山の中とか水に濡れたりするシーンが多かったので。今までの人生で一番寒いくらい。
小島祐輔
短い時間でギュッと撮ったので、ほとんど寝る時間がなく、最後のシーンの撮影の時は目にクマができていて、カメラを通して僕の顔を見た時にこれは見れたもんじゃないとカメラマンさんに言われました(笑)
クランクアップ後に警官に・・・
– 監督にとっての一番大変だった点は?
岡部哲也監督
10日間の撮影期間の後半、私も寝てないですね。
クランクアップ後、前枝さんを家の近くまで車で送って、一人で国道を走っていたら、信号を待っている間にブレーキを踏んだまま寝てしまって(笑)
コンコンと窓を叩く音がして、ハッと見たら警官で「大丈夫ですか?」って言われて(笑)
時代がようやく『歯まん』に追いついた
– 2015年のゆうばり映画祭で上映後、4年の時を経てこうやって公開を迎えていかがですか?
岡部哲也監督
ほんとに感慨深いです。
最初にプロットを書いたのが(14年前の)22歳の時で、卒業制作で企画出したら多数決でボツになって。
その後、助監督として現場に出て、10年後、撮影の長谷川さんと同じ現場で意気投合して、この『歯まん』を撮ったのが2013年で、ゆうばり映画祭が2015年。そして一般公開が今日ということなので。
時代がようやく『歯まん』に追いついたなと(笑)
– 前枝さんはこの日を迎えられていかがですか?
前枝野乃加
ゆうばり映画祭以降、いろんな映画祭に呼んでいただいたりとか、定期的にこの作品に関わる機会が多かったので、あんまり長かったという印象はなくて、それよりも(撮影から)ゆうばり映画祭までの2年が長かったなという印象です。
こうやって一般公開の日を迎えられたのは岡部監督の執念だと思うので、すごいですし、ありがたいです。
今日から公開で、今後どうなっていくのかも楽しみです。
– 海外の観客の反応はいかがでしたか?
前枝野乃加
血が吹き出すシーンで爆笑したり(笑)
小島祐輔
フランスでもここなの?っていうシーンで笑いが起きてたり。見方が違うのかなって。
映画『歯まん』
私は初めてのSEXで人を殺した。愛する人を
今作は、『生と性と愛』がテーマのダークファンタジー。自らの肉体の変化によって愛する人を殺してしまった少女の悲痛な叫びから、愛とはなにか?生きるとはなにか?という普遍的な問いかけを観客に突き付けてくる作品。
『ハード・コア』(18)の山下敦弘監督、塚本晋也監督作『斬、』(18)で主演を務めた演技派俳優・池松壮亮さん(以下敬称略)など映画界の著名人からも多くのコメントが寄せられている注目作。
監督にはフリーの助監督として中村義洋、豊島圭介、三池崇史、山下敦弘など多くの監督の作品に従事し、本作初監督ながらも国内外で大きな注目を集めた日本映画界新たなる異才の岡部哲也。
禍々しくも繊細な愛と性を切り取った、ファンタジック・ラブストーリーがいよいよ幕開けとなる。
出演:馬場野々香 小島祐輔 水井真希 中村無何有 宇野祥平 泉水美和子 坂井天翠 古川真司 瓜生真之助 大石結介ほか
監督・脚本:岡部哲也
配給:アルゴ・ピクチャーズ 配給協力:武蔵野エンタテインメント
2015/日本語/カラー/95分/DCP/R18+ ©2015「歯まん」
公式HP:http://www.haman.link/
2019年3月2日(土)より アップリンク渋谷ほか全国順次公開!!
[写真・記事:Jun Sakurakoji]
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