舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

【インタビュー】2人芝居に挑戦する2つのチーム。井之脇海×上川周作×窪塚愛流×篠原悠伸

2024年9月17日に開幕する舞台「ボクの穴、彼の穴。W」。フランスの絵本を原作とした本舞台は2人芝居で構成される。それを、<ボクチーム>井之脇海×上川周作と<彼チーム>窪塚愛流×篠原悠伸の2チームに分かれて上演。今回その4人に舞台への取り組みについて話を聞いた。
 
原作となった絵本は、松尾スズキが初めて翻訳したフランスの童話作家デビッド・カリ著・セルジュ・ブロック絵『ボクの穴、彼の穴。』(千倉書房)。
戦場に残された敵対する二人の若い兵士。それぞれの穴の中で孤独に苛まれ、星空に癒され、幾度も限界を迎えながらもやがて「彼」を知ることで、勇気をもって新たな未来へと踏み出す希望の物語。舞台は戦場だが、ユーモアと人間の根源的な優しさが満ち溢れた作品となっている。

井之脇海×上川周作×窪塚愛流×篠原悠伸 インタビュー

■「彼を知ること。それが未来のはじまり。」

‐本作の台本を読まれての印象を教えて下さい。
 
井之脇海<ボクチーム>
まず2人芝居ということに惹かれて是非やりたいと思いました。その上で台本を読んで、戦争の話ですけど、現代の我々にとっても遠い話ではないですし、人を知り、人を信じられるのか、この人は悪なのかということをすごく考えさせられるお話だと思いました。
 
上川周作<ボクチーム>
登場人物が2人だけで、同じ空間にいる中で、(穴に隠れて)相手に思いを馳せて、どういう人なのかなって想像をどんどん膨らませていく描写がすごくリアルで生き生きと感じられて。そういう部分にとても惹かれました。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

上川周作/井之脇海

窪塚愛流<彼チーム>
舞台のご依頼こ応えることが初めてだったので、本番でミスをしたときのことばかりを考えて、出演を決めるまではかなり迷いました。。
でも、長い期間お返事をお待たせして、ノゾエ征爾(脚本・演出)さんと長坂まき子(大人計画)さんが僕と直接お話をしてくれたのですが、それがとても嬉しかったんです。なので、台本を読んでというより、ノゾエさんと長坂さんの熱い想いを受けたことが、僕が前を向いて舞台をやりたいと思うきっかけになりました。
その上で台本で印象的だったのは、戦争の話だけど、現代の僕らの生活とかけ離れているわけでもなく、自分と置き換えて考えられる部分がたくさんあると思ったことです。
 
篠原悠伸<彼チーム>
戦争のお話なのに、暗くなりすぎずユーモアもあって、そのユーモアとメッセージ性のバランスがちょうど良くて読みやすくて面白いなって思いました。そして、ノゾエさんの演出の元で是非お芝居をしたいとも思ったので、このお話を受けさせていただきました。
 
‐皆さんが演じる上での取り組みをお聞かせください。その際、演出のノゾエさんとお話されたことがありましたら合わせてお願いします。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

窪塚愛流/篠原悠伸

井之脇海
基本、どの舞台もそうですけど、役に真実味を持たせることが大事だと思っていて、今回は戦場という特殊な空間なので、そこはノゾエさんと話しながら、「この穴にはどれくらい前からいるんだろう?」とか、僕の役で言えば、相方が死んでしまった状態から始まるんですけど、「それはいつなのか?」など、この台本の中だけではなく、そこに至るまでの彼らが歩んできたものをよく話し合って作るようにしています。そして芝居上では、いろんな演出をいただいてますけど、「とにかく穴の中に居るっていうことを絶対に忘れてはいけない。」ということを常に意識しています。あとは周ちゃんと一緒に体力づくりをしたりしています(笑)
 
‐体力も使うお芝居ということなんですね。
 
井之脇海
はい。いっぱいしゃべりますし、ほふく前進なんかもするんです。
 
上川周作
この場にどうやって自分が居れるか、戦闘を体験したことがない自分が、その穴の中にいかに真実性を持って立てるかっていうことが、まず最初の関門なような気がしています。
そこに至るまでの積み重ねや歳月、もっと言えば、生まれた時からどういう人生を送ってきて、今この穴に居るのかっていうことを、稽古しながらもっともっと考えていかないといけないなと思っています。
そういう中で、ノゾエさんが、「相手との距離をリアルに想像するように」という言葉を投げかけてくださって、それを大事にしています。いろんなものの動きや、穴と穴の距離感をリアルに想像していくこと、そして、知らない相手のことを想像していって、相手に対する恐怖感を埋めていく。それを自分自身に置き換えてリアルに想像したり、相手との心の距離も意識しながら稽古に励んでいます。
 
窪塚愛流
今まで出演させていただいたドラマや映画とは役作りの方法も違うし、それは新鮮で楽しいですが、やっぱりまだまだ足りてないものを毎日痛感する日々です。でも「ボクの穴、彼の穴。W」のコピーに「彼を知ること。それが未来のはじまり。」とありますが、これが自分自身に当てはまっていて、自分は穴の中にいるから、隣の穴の中にいる悠伸くんの姿は、本当は見えないけれど、稽古では見えている状況。自分の役を作る上で、やっぱり一番大切なものって悠伸くんの役なんです。僕は自分の役を自身で膨らませるというよりは、悠伸くんが演じるキャラクター像や芝居を見て、たくさんのヒントをもらっている日々です。今までそういう役の作り方をしたことがなかったのですが、今回僕はそれが一番良いなって思います。
そして、ノゾエさんも僕の芝居を自由に受け止めてくれるんです。だから、とりあえずできるところをやって、それをノゾエさんが削ってくれています。まだまだもがき中です。
 
篠原悠伸
僕は、皆さんのお話を聞いて、もっとちゃんとしないとなと思いました(笑)
何か取り組んでいるのか?と言われても、とにかく台詞がいっぱいあるので、それを覚えるのでいっぱいいっぱいの現状です。
今は、台本読んで感じたことをそのまま自由にやるみたいに、本当にサバンナに解き放たれた動物みたいな感じでやってるんですけど、ちょっともっとちゃんと考えなくちゃって思いました(笑)
あと、僕もやっぱり家で一人で台本を読んでいるのと、隣に愛流がいてやるのとじゃ全然違うので、ちゃんと愛流を感じながら日々変わっていってる感じはします。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

上川周作/井之脇海/窪塚愛流/篠原悠伸

■<ボクチーム>と<彼チーム>

‐今回は、<ボクチーム>と<彼チーム>に分かれての公演となりますが、それぞれのチームのアピールポイントを教えてください。

<彼チーム>

篠原悠伸
僕は僕自身のことはあまりよく分からないんですけど、愛流には、その純粋さをすごい感じるんです。純粋にそう思ってセリフを言ってるんだなっていうことをすごく感じるんで、可笑しくもなるし、可哀想にもなるし、それは見ていて僕は楽しいです。
 
窪塚愛流
初めて会った時も思ったのですが、芝居を重ねていくごとに役に関係なく、一人の人として悠伸くんと僕はとても波長が合うなと思うんです。
いくら芝居を頑張って一緒につくっても、合わない人とは本当に合わないと思うし、そこはがっちりと僕たちはハマっているので、ノゾエさんも僕らの芝居の掛け合いを見て、面白いと言ってくださるところは嬉しいので、そこをもうちょっと役に関係なくお互いのことを知って、僕たちの化学反応を更に起こしたい。
悠伸くんとは一緒にお芝居をしていてとても楽しいので、お客さんにも何かいいものを伝えられそうだなって感じています。まだまだ(稽古を)頑張らないといけないのですが、僕たちの神がかったセッション、コンビネーションを感じ取ってほしいなと思います。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

窪塚愛流/篠原悠伸

<ボクチーム>

井之脇海
稽古期間は約1ヶ月あるんですが、その中でいろいろ試しながら、今回は遊び心を持ってやろうかなみたいなところがあって。相手とは別々の穴の空間ですけど、相手がこう出てきたなら、敢えてこうしてみようとか、逆に乗っかってみようとか、そういうことをお互いに感じながらやっていくので、公演日によって遊びポイントが変わってくる気がして、全部の公演をフレッシュに遊び心を持ってやるようなチームにしたいです。
 
上川周作
(この舞台のビジュアル用の)写真撮影の時に井之脇くんと初めて会って、その時の第一印象は、ドシっとしていて仁王立ちが似合う方だなと。
稽古場に入ってからも井之脇くんが醸し出す安心感を感じたんです。特に、歌の稽古で背中合わせでお互いに歌った時に、すごく体温を感じて。
この舞台は一人で穴の中にいるけれど、相手の体温を感じられたことで、今の芝居が立ち上がってきてる感覚があります。
命を奪い合おうとしてる相手ではあるけど、そこには体温を感じていて、もし戦場以外で会ってたら本当に仲いい友達になってたかもしれないし、家族みたいになってたかもしれないっていう、そこの表裏一体のところを今、井之脇くんから包み込んでくれる温かさからすごく感じるんです。
なので、お客さんには、観終わった後に、残酷な戦争物語を観たなっていうことではなくて、包み込まれる愛みたいなものもお届けできるんじゃないかなって思っています。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

上川周作/井之脇海

■大切にしている“マニュアル”

‐この舞台の物語は「マニュアル」のネガティブな側面を描いていますが、逆に皆さんが生きていくうえで、あるいは俳優としてポジティブに捉えているマニュアルとしての座右の銘や先輩の言葉などがありましたら教えて下さい。
 
井之脇海
座右の銘は「日々精進」です。それは昨日より今日、今日より明日っていう、仕事だけじゃなくて、人生を楽しんで深堀っていけたらなっていう想いからです。あと、僕がバイブルにしている大事な本があって、それはパウロ・コエーリョ作「アルケミスト 夢を旅した少年」。いろんな物事の前兆を感じること、そしてそれを掴むことということは意識しています。まだ起こってない、これから起こりそうな何かに、常に敏感でいることみたいなことです。
 
上川周作
座右の銘は「継続は力なり」です。普段からコツコツと積み上げて最後には何かになる、そう思っています。
 
窪塚愛流
「諦めないことと、信じることを止めない」という言葉を大切にしています。
僕が信じていることは、「絶対にこの夢を叶える」と信じる人は叶うと思うんです。でも「この夢叶うかな?」と思ったら、叶うかもしれない。「叶わないな」と思ったら叶わない。
だから、やる・やらないじゃなくて、信じる・信じないかだと思うから、自分も今稽古で凹むこともありますが、皆さんにとても素敵な芝居を届けられるようにと思って演じています。それを信じているし、諦めていません。
 
篠原悠伸
僕は何か考えてたんですけど、あんまり座右の銘みたいなものは無いなと思って。なんでだろうなと考えたら、多分自分の根っこがものすごくポジティブで、自己愛の化身みたいです(笑)なので、誰かの言葉というより、自分の言葉になっちゃうんです(笑)
僕、大学生の時に初めて失恋した時に、「あぁ、自分はもう誰にも好かれてないんだろうな」とネガティブに入った時があって。でもやっぱり根っこがポジティブなんで、「誰にも好かれてないけど、自分だけは自分のことを好きでいよう」というマインドが働いたことがあります。

■少年時代

‐この舞台の物語に登場する二人の<ボク>が、自分の少年時代を振り返るシーンがありますが、それにちなんで、皆さんの少年時代を振り返ってどんな子だったのかを教えて下さい。
 
上川周作
僕にはひとつ上の兄貴がいるんですけど、子供の頃は、ずっと兄貴にくっついて回って、よく「真似すんなよ」って言われるぐらい色んなことを真似してました。そういうところあったから、自分なりの生きていく道をちゃんと見つけなくてはとも思っていた少年でした。
それが明確になったのはサッカーを始めてからです。チームに兄はいませんし、自分で自分の技術を高めていって、みんなに認めてもらわないといけない、僕が頑張らないと自分の個性を活かすことはできないんだと自覚したときです。
 
井之脇海
僕は誰とでもしゃべれるタイプの少年でしたけど、でも同時に誰ともつるまない人でもあったから、一人で本を読んだり映画を見たり、自分の時間を大事にするのが好きでした。
 
窪塚愛流
僕は友達が多かったです。学生の時はいくつか仲の良い人同士のグループができるじゃないですか。僕は全部に所属しているけど、全部に所属してないみたいな。どこに行っても友達がいる感じでした。
だから高校生の時も、同じクラスの子とも仲が良かったけど、全然違うコースの子たちとお弁当食べたりとか、放課後一緒に過ごしたりとかしていました。
 
篠原悠伸
僕は一人でゲームして、絵を描いたり、ナルトの印を練習したりするの好きな子でした。
舞台「ボクの穴、彼の穴。W」

上川周作/井之脇海/窪塚愛流/篠原悠伸

■“穴”とは?

‐最後にこの舞台を楽しみにしている方に向けてのメッセージをお願いします。
 
井之脇海
戦争の話ではありますけど、いつの時代においても人を助けることや、隣の人がどういう人なのかと想いを寄せることは、普遍的なテーマだと思っていて、戦争の物語を観に行くというよりは、人と人との対話や関係性みたいなものをぜひ観に来てほしいです。
2人芝居なので、どっぷり芝居の世界観に浸かっていただけたらなと思います。
 
上川周作
他人を知ったりとか、相手を知るっていうことに、何かのきっかけを与えてくれるような作品だと思います。
初めは怖くても一歩踏み出して、例えば挨拶からでもとか、何かそういうきっかけがないと、相手とは近づくどころか、ずっと平行線のまま出会うこともないかもしれない。そういう登場人物の二人の関係は、ちょっと出会い方が違ったりするだけで、全く違う関係になってたんじゃないかなとも思えます。
なので、舞台を観終わった後は、戦争の物語を観たというよりは、人と人との繋がりの大切さみたいなものも感じられるんじゃないかなと思います。
“ボクA”“ボクB”っていう役名ですけど、やっぱり全然違う個性を持っていて、やっぱり人間って一人一人違うんだなっていうことを楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
 
窪塚愛流
台本読んで思ったことのもうひとつは、なんで戦争の話なのに、内容がすっと身体に入ってくるのかなという疑問。それで考えているうちに思ったのが、“穴”って自分の心だということ。人は、その心の穴から出ないうちは、自分のことを隠しているわけだし、お互いのことを何も知らないまま。
登場人物の2人も、穴から出ることは無防備な状態になることだし、何かを言われるのか、銃で撃たれるのか、もしかしたら爆弾が落ちてくるかもしれない。
僕が思う“心の穴から出る”とは、自分の気持ちを正直に伝えたりとか、包み隠さず居ることで、それはとても勇気がいることだと。そう思って、それぞれの登場人物の内面的な部分をむき出しにして僕らは演じるので、この物語が持っている真意を伝えられたらと思います。
あとは、シンプルに(初舞台に挑戦する僕の新しい姿を見てほしいです。
 
篠原悠伸
まるで2人の役者が、本当に戦地に送りこまれているかのような、そこの穴の中で、のたうち回りながら、孤独と戦いながら、その喧騒とか孤独とか芝居の境目があやふやになっていくような様を覗き見るような感じで、劇場に来ていただきたいです。

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎/ヘアメイク:大和田一美(APREA)/スタイリスト(井之脇海):坂上真一(白山事務所)/スタイリスト(窪塚愛流):上野健太郎/スタイリスト(上川周作・篠原悠伸):チヨ]
 
井之脇海(いのわきかい)プロフィール
1995年、神奈川県出身。
2007年、映画『夕凪の街桜の国』でデビュー。翌年公開した映画『トウキョウソナタ』で、「第82回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第23回高崎映画祭最優秀新人男優賞」を受賞。近年の主な出演作に、ドラマ「おんな城主 直虎」、「いだてん」、「義母と娘のブルース「、「今際の国のアリス シーズン2」、「ちむどんどん」、「9ボーダー」、「ブラック・ジャック」、映画『ONODA 一万夜を越えて』、『ミュジコフィリア』、『猫は逃げた』、『犬も食わねどチャーリーは笑う』、『almost people』、『バジーノイズ』など、途切れることなく話題作に出演する。10月に映画『ピアニストを待ちながら』の公開を控える他、2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」にも出演が決定している。
 
上川周作(かみかわしゅうさく)プロフィール
1993年、大分県出身。アニメ『大家さんと僕』では主役の僕(矢部太郎)の声を担当するなど、舞台、ドラマ、映画と幅広く活動中。2021年映画『CHAIN/チェイン』にて初主演を務める。主な出演作に、舞台『ドクター皆川〜手術成功 5 秒前〜』、ドラマ『西郷どん』『いちげき』『ダブルチート 偽りの警官 Season1』、映画『女優は泣かない』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』など。放送中の連続テレビ小説『虎に翼』では主人公の兄・ 猪爪直道役を個性豊かに演じ話題に。今後は、朗読劇『蒲田行進曲』が京都・春秋座にて10月19日、20日に上演。出演映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は11月公開。
 
窪塚愛流(くぼづかあいる)プロフィール
2003年、神奈川県出身。
今作が初舞台。2018年の映画『泣き虫しょったんの奇跡』で俳優デビュー。2021年から本格的に俳優活動を開始する。最近の出演作に、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」、「あたりのキッチン!」、土曜ナイトドラマ『顔に泥を塗る』、映画『麻希のいる世界』、『少女は卒業しない』、『愛のゆくえ』など。今年5月公開の映画『ハピネス』にて初主演を務める。フジテレビ系「めざましテレビ」生放送9月マンスリーエンタメプレゼンターを務め、公開中の映画『恋を知らない僕たちは』に出演するなど、話題沸騰中。
 
篠原悠伸(しのはらゆうしん)プロフィール
1992年、東京都出身。
幼少期より子役として活動しており大学卒業後、俳優活動を開始。映画やドラマ、舞台に出演する傍ら、短編映画の監督、バンド「貉幼稚園」でギター・ボーカルおよび作詞・作曲を担当するなど、多方面で幅広く活動している。2023年映画『米国音楽』で初主演。その他の主な出演作に、舞台『フリムンシスターズ』、『メルセデス・アイス』、映画『『花束みたいな恋をした』、『サマーフィルムにのって』、『ボクたちはみんな大人になれなかった』、『真夜中乙女戦争』、ドラマ『エルピス-希望、災い-』など。今年は6月に主演映画『明るいニュース』が期間限定公開された他、ドラマ「25時、赤坂で」、映画『朽ちないサクラ』などに出演。ドラマ「終りに見た街」が9/21(土)21時から放送予定。

モチロンプロデュース「ボクの穴、彼の穴。W」

《概要》
本作は松尾スズキが初めて翻訳したフランスの童話作家デビッド・カリ著・セルジュ・ブロック絵『ボクの穴、彼の穴。』(千倉書房)の絵本が原作の二人芝居です。
戦場に残された敵対する二人の若い兵士。それぞれの穴の中で孤独に苛まれ、星空に癒され、幾度も限界を迎えながらもやがて「彼」を知ることで、勇気をもって新たな未来へと踏み出す希望の物語です。舞台は戦場ですが、ユーモアと人間の根源的な優しさが満ち溢れた作品です。
 
《あらすじ》
戦場に残された敵対する二人の若い兵士“ボク”と“彼”。二人は同じく穴の中で息をひそめて相手の出方を探っている。ボクが頼るものは戦場に向かう時に渡された1丁の銃と“戦争マニュアル”。そのマニュアルには、『彼は血も涙もない、本当のモンスターだ』と書かれている。二人は空腹に耐え、星空に癒され、家族を想いながら、もう随分長く独りぼっちだ。やがて限界が訪れ、ボクは相手の穴に向かう。「敵を殺さなければならない。でないと敵に殺されるからだ」。彼の穴に到着したボク。そこに彼の姿は無く、見つけたものは自分が持っているものと全く同じ“戦争マニュアル”。そこには“ボクがモンスターだ”と書かれている。衝撃を受けるボク。「ボクは人間だ!モンスターじゃない!ウソばかり書いてある!」そしてもう一つ見つけたものは、彼の家族写真。楽しい温かい家族写真だ。
ボクは彼を想像する。こんな家族が待っている人間が、女や子供を殺す?ボクと彼は、同じウソをつかれているということだろうか・・・
 
翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾
訳:松尾スズキ
原作:デビッド・カリ/セルジュ・ブロック
出演:<ボクチーム>井之脇海×上川周作/<彼チーム>窪塚愛流×篠原悠伸
東京公演:2024年9月17日(火)〜9月29日(日) スパイラルホール(スパイラル3F)
大阪公演:2024年10月4日(金)〜10月6日(日) 近鉄アート館
主催:サンライズプロモーション大阪
協力:PARCO、千倉書房
会場協力:株式会社ワコールアートセンター
制作協力:大人計画
企画・製作:モチロン
Davide CALI et Serge BLOCH : “L’ENNEMI”
©2007 Editions Sarbacane, Paris
著作権代理:(株)フランス著作権事務所
モチロンプロデュース「ボクの穴、彼の穴。W」

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