古川琴音、松大航也の首を本気で締めた!?初のホラー映画出演の裏話を語る。映画『みなに幸あれ』公開記念舞台挨拶
2024年1月19日、ヒューマントラストシネマ渋谷にて、映画『みなに幸あれ』公開記念舞台挨拶が行われ、主演の古川琴音、そして松大航也、下津優太監督が登壇。古川にとって初のホラー映画撮影秘話を明かした。
本作は、2021年日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)の初大賞受賞作品。メガホンをとるのは、「日本ホラー映画大賞」にて同名タイトルの短編映画として大賞を受賞した下津優太。商業映画監督デビューにして、早くも世界各国の映画祭で称賛を浴びており、今までに観たことのない斬新な恐怖の世界を創り上げている。そして、総合プロデュースを手掛けるのは、日本ホラー映画界の重鎮である清水崇だ。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
■テキストダイジェストレポート
‐本作は、「第1回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞した短編がベースに長編映画化され、いよいよ公開となりました。この回だけじゃなくて、朝の会もかなりのお客さんで埋まっていましたが、古川さんのお気持ちはいかがでしょうか?
古川琴音(主人公・孫 役)
本日を迎えられてとても嬉しいです。
観終わった後に皆さんがどういう感情を持つのか、とても興味のある作品だったので、上映後の皆さんのお顔を見るのを楽しみにしていました。
‐本作で商業映画監督デビューとなった下津監督は、お客さんを前にしていかがでしょうか。
下津優太監督
KADOKAWAが主催する日本ホラー映画大賞で、大賞を頂いて、その副賞で今回、この映画を撮らせていただきました。それまで私は、生涯で商業映画1本撮れればいいなと思っていたところなので、本当に幸運でした。そして古川さんと松大さんのような素敵なキャストの皆さんと作ることができて幸せです。
‐この作品はプチョン・国際ファンタスティック映画祭をはじめ、海外の8つの映画祭に出品し、3つの受賞をしています。実際に現地に行かれていかがでしたか?
下津優太監督
韓国とスペインに行きました。韓国は日本と文化も似ているところがあるので、「これ笑っていいのかな?」みたいなリアクションがありましたが、スペインではリアクションが大きくて笑いもありました。
この作品は、ホラー映画というジャンルに属しますが、私としては恐怖とお笑いの間のシュールな面を狙って作ったので、お客さんによっては怖がって見てたり、笑って見てたり、そういうリアクションをいただける作品を目指して作りました。
‐古川さんは、ホラー映画は初めてということですが、出演の決め手は?
古川琴音
最初に台本をいただいたんですけど、読んだ後に単なる怖さだけじゃなくて、どこか現実と通じてるような、なにか嫌な気持ちになるなというような感覚があって、単なるホラー映画ではないなという感じがしたんです。私にとってホラー映画に挑むこと自体が初めてだったし、この作品が一つの挑戦になるのではと思ったので、出てみようと思いました。
‐撮影期間は8日半ぐらいだそうですが、撮影について感じられたことは?
古川琴音
ホラー映画ってこんなに体力を使うんだっていうのが正直な印象です。逃げて、泣いて、叫んで、怒ってっていうもう全部が感情の発散型なので、もう日に日に体力が消耗されていくんです。怖いっというのももちろん感じるんですけど、どんどん飲み込まれて磨り減っていくような、そんな感じがしました。
‐監督、古川さんのキャスティングの経緯は?
下津優太監督
脚本ができつつある中で、まだキャストの話になっていない段階で、勝手に候補リストを作って第1希望に古川さんを入れさせていただんです。それでプロデューサーに相談したら賛同してくれたので、オファーしました。そうしたらOKをいただいたので、「よっしゃ!」って嬉しかったです。
‐商業映画デビュー作品で、第1希望が叶うことって結構希じゃないですか?
下津優太監督
はい、古川さんは今、人気もうなぎのぼりですし本当に贅沢なことです。撮影期間が短く、殆どワンテイクかツーテイクで、どんどんOKを出していたので、ほんとに古川さんだからこそできた映画だと思ったし、現場で「あぁ、これが本物の女優か!」と感じた記憶があります。
‐松大さんは、ホラー映画のオファーが来ていかがでしたか?
松大航也(主人公の幼馴染 役)
実は僕もホラー映画は初めてで、しかもビビリなので、お話をいただいた時に、ちゃんと演じられるのかと思いましたが、いざ撮影にでお芝居の中に入ると、下津さんが大切にされていた世界観を感じられて怖さはなく、役へのアプローチも考えさせられて、結果的にとても嬉しい出演となりました。
‐撮影全体を通して印象に残ったことは?
古川琴音
松大くんに謝りたいことがひとつあります。最後に、(松大くん演じる)幼馴染と対峙して、首に手をかけるシーンがあって、私はもちろん演技として首を絞めてるつもりだったんですが、本当に首を絞めていたらしくて。そのシーンは何回もやったんですけど、全部撮り終わってから松大くんが「首を絞めてましたよ」ってこっそり教えてくれました。ごめんね。
松大航也
全然大丈夫です。気持ち良かったです。
やっぱり古川さんも本気で演じられてますし、僕もいい作品にしたいなっていう気持ちは強いので、もっと来いよ!と思っていたんですが、終盤、マジで締めてきて、その時はうんって思いましたけど(笑)
‐さっきもお話ありましたが、基本的に1~2てテイクでOKとなっていた中、このシーンは、30テイク近く撮られたそうですね。
古川琴音
監督、なぜでしょうか?
下津優太監督
それまで古川さんに、泣く演技、笑う演技をしてもらって、もちろん素晴らしい演技をしていただいたんですけど、クライマックスでは、それらを超えてもっと追い込みたかったんです。
‐古川さんは実際に追い込まれてましたか?
古川琴音
もちろん、追い込まれていて、もう喉のこの辺まで「もうふざけんなよ」という汚い言葉が出てくるるのを何度も抑えながら首を絞めてました。
‐松大さんは印象に残っていることは?
松大航也
僕と古川さんが一緒にトラックに乗って喋ってる時に車がガタガタ揺れるシーンがあるんです。あれはスタッフさんが人力で車を揺らしているんですが、古川さんが全力でブレーキを踏まれて、しかもそのシーンも何テイクかあったので、後から助監督さんが腰がくだけそうだったって言ってたのを聞いたんです。やっぱり追い込まれてからの古川さんから出てくる底力ってすごいなって思いました。
古川琴音
そこは別に追い込まれてはないんですけど、運転が下手なお芝居にしなきゃいけなかったので、後ろでスタッフの方が押してくださってて、なかなか力加減が難しかったんだと思います。
‐本作のテーマ「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」。地球上の幸せには限りがあるというこのテーマに監督が込められた想いは?
下津優太監督
きっかけは、都市伝説で「地球上感情保存の法則」があることを知ったことです。簡単に言うと地球上に住む幸せな人と不幸な人を足し合わせると0になるというものです。もしその法則が仮に本当であれば、意図的に不幸な人を作り出すと自分たちの幸せができるということを発展して考えていったテーマです。
‐そういったところに関連するセリフも本作には散りばめられていますが、この「幸せ」に関して古川さんが日頃幸せに感じていることや、幸せそのものに対して思うところはありますか?
古川琴音
すごく難しいですよね。この映画のインタビューを受けている中でも思いましたが、「幸せ」という言葉がちょっと恐ろしいなと思えてきて、この言葉があることで“絶対的なこれが幸せだ”っていうものがあるような錯覚に陥るというか。
もしかして無いものをずっと追い求めてしまうような感覚になり得る言葉。もちろん言葉通りのプラスなイメージもあるけれど、でもその言葉を知ってしまった以上、ずっと自分はそれを追い求めていかなきゃいけない辛さみたいなものもある言葉だなと考えるようになりました。
この映画の題名が最終的に皮肉としてグサッと刺さるような物語だったので、本当の幸せって考えた時に、そもそも幸せって何だろうっていうことを考えました。
‐監督、「みなに幸あれ」というタイトルをに込められた想いは?
下津優太監督
短編の時から「みなに幸あれ」というタイトルだったんですが、半分希望で半分皮肉2つの意味があります。
‐そこには希望も入ってる訳ですね。
下津優太監督
そうです。ただ、その希望が叶うことはないかもしれないから、皮肉の意味があるというかっていうことです。
‐そこで幸せというところに掛けて、古川さんと松大さん、最近誰かに何かをしてもらって、これは幸せだなと感じたことがあれば教えてください。
古川琴音
昨年の夏頃に子猫を拾って今その猫と一緒に暮らしてるんですけど、拾った当時が本当に忙しくて、まだ子猫なので、3時間おきにミルクをあげなきゃいけなかったり、排泄が自分でできないからその世話をしなきゃいけなくて、里親に出そうかなっていうのをずっと考えてたんです。
そのとき、両親が一時的に引き取ってくれたってくれたことは、とても感謝してますし、両親のおかげで、今、その猫と一緒に暮らせていることは、すごく幸せに感じていることです。
‐松大さんはいかがですか?
松大航也
僕は普段、あまりおしゃれをしなくて、髪のセットもあまりしないんですけど、今日みたいな日は、スタイリストさんやヘアメイクさんがいらっしゃって、僕を作ってくれるて、それはとても楽だなと思いつつ、幸せなことだとも思います。
そして、俳優をやるって志してから、今こうして下津監督、古川さん、素敵なキャストさんと共演して、この映画を観ていただいたお客様とこうやってお会いできることも、僕にとってとても幸せでキラキラしたものだなと、今日ここに立って改めて感じました。
‐監督は?
下津優太監督
今です!
‐それが欲しかったんです(笑)ありがとうございます。さて、お時間が来てしまいました。最後に下津監督と古川さんから最後一言ずつお願いします。
下津優太監督
万人ウケする映画と思って作ってないので、全然合わない方もいらっしゃると思いますし、今の感じいいねって思った方もいらっしゃるかもしれない。もしかすると大半の方がこれは何を見せられてるんだろうって思っているかもしれません。でも、そのまんまの率直な、いろいろな感想があって正解ですので、そのわからないという感覚を楽しんでいただければと思います。清水崇監督からはニュージャンルホラー映画、24のような映画が撮れたねという言葉はいただいたので、ぜひこの新感覚を楽しんでいただけたらなと思います。
古川琴音
私もこの映画を初めて観たときはすごく笑ってしまったんです。なんてカオスな映像なんだろうと、触られたことない所をを掬って触られたような、なんて不思議な気持ちになるんだろうって思いながら観た映画なので、監督がおっしゃったとおり、それが「ウッ」て思う人もいるし、「あ、この感じか何か悪くないかも」って思う人もいらっしゃったと思うし、本当に観た人の数だけ感想が生まれる映画だと思うので、是非皆さんのご友人やご家族でホラー画を観たことない方とかにも、薦めていただけたらいいなと思います。本日はありがとうございました。
■フォトギャラリー
[動画・写真・記事:三平准太郎]
映画『みなに幸あれ』
《INTRODUCTION》
「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」
人類の宿痾と言ってもいい根源的なテーマが根底に流れ、とある村を舞台に、この世界の特異な成り立ちに疑問を持った古川演じる主人公が行動を起こすも、逆にどんどん追い込まれていく様を描き、「この世界にはある法則が存在する。それを知らないと死ぬことになる…。」という得体の知れない恐怖と対峙していく―。
不気味な家族と村の住人たち、恐怖の連続の先にある“幸せ”とは―
この度、異様な雰囲気を放つ登場人物たちを捉えた場面写真が解禁された。
写真には、久々に訪ねた祖父母の家の2階の部屋を気にする様子の主人公・孫(古川琴音)や、主人公の幼なじみ(松大航也)と共に裸の男を担ぎ、何かから逃げるように緊迫感を漂わせる姿と、何かを見て怯えるように肩をすくめる主人公の様子が。さらには腹部が不自然に膨らんだ祖母を、血を流しながらも家族全員で必死に支える組体操のような奇妙なシーン。そして、燃え上がる炎の向こうで、母親が肩を引き寄せるも、主人公の表情は歪み、悲しみと絶望を滲ませるも、その様子をポケットに手を入れただ平然と見つめる父親。どのシーンも思わず身震いしてしまうが、違和感と不可解な異様さが際立つカットの数々だ。
すでに海外の映画祭で上映され、多くのホラーファンから高い評価を受けている本作。先日、予告映像が解禁されるやいなや、SNSでは「何か、心の準備がいりそう」や「トラウマになる予告」、「めちゃくちゃキモくて最高」、「新たな傑作誕生の予感しかしない」と、日本のホラーファンからも期待の声が続々と寄せられている。想像を遥かに超える恐怖の先に描く“幸せの本質”、その真相とは一体。その衝撃の展開に、Jホラーの歴史を塗り替える一作と賞賛を集め、多くのホラーファンを魅了し唸らせる本作にぜひご期待いただきたい。
《STORY》
看護学生の“孫”は、ひょんなことから田舎に住む祖父母に会いに行く。久しぶりの再会、家族水入らずで幸せな時間を過ごす。しかし、どこか違和感を覚える孫。祖父母の家には「何か」がいる。そしてある時から、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が迫って来る…。
出演:古川琴音 松大航也
原案・監督:下津優太
総合プロデュース:清水崇
脚本:角田ルミ
音楽:香田悠真
主題歌:「Endless Etude (BEST WISHES TO ALL ver.)」 Base Ball Bear ※レーベルロゴ
製作:KADOKAWA ムービーウォーカー PEEK A BOO
制作プロダクション:ブースタープロジェクト
配給:KADOKAWA
©2023「みなに幸あれ」製作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/minasachi/
公式X:@minasachi_movie
映画『みなに幸あれ』本編冒頭映像4分ノーカット(予告編付き)
予告映像
2024年1月19日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
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