亀梨和也「芸能界ってサイコパスの集まり」吉岡里帆「誰もが心の仮装をしている」映画『怪物の木こり』完成報告会【完全レポート】
2023年10月31日、esports銀座studioにて、映画『怪物の木こり』完成報告会が行われ、亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆、染谷将太、三池崇史監督が登壇。サイコパスな主人公とシリアルキラーが戦う本作の魅力について語った他、キャストの中で一番のサイコパスは?というアンケート結果も明かした。
本作の原作は、2019年第17回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した小説「怪物の木こり」。ぶっ飛んだ設定と意表を突く展開が連続する衝撃作が“超刺激サスペンス”として映画化された。
完成報告会見レポート【完全版】
三池崇史監督
自分としても非常にやりがいのあるいい仕事ができた作品です。
亀梨和也(サイコパス弁護士・二宮彰/にのみやあきら 役)
ハッピーハロウィン!
12月1日の公開に向けて少しずつ時間が進んで、たくさんの皆さんに届くようにこれからの時間を過ごしたいなと思っています。
‐「このミステリーがすごい大賞」を受賞した原作を映画するにあたって魅力的だと思われたポイントは?
三池崇史監督
これまでにも映画ではいろんなサイコパスを主人公にして描かれてきましたが、本作の原作の面白さは、登場人物のほぼすべてがサイコパスということ。
それは犯人を問い詰める警察側もそうで、正義というより自分の想いで行動していて、各登場人物がシームレスに繋がっている。
そして最後は、サイコパスとはこのようにして作られていくんだというところに繋がっていく。
原作をリスペクトして、その魅力をできるだけ損なわないように、そして映画的に加速させました。
バイオレンスが激しい映画だと皆さんは思われるかもしれませんが、すごく良いヒューマンドラマにもなっています。そういう意外性もお客さんに楽しでいただければなと思います。
‐キャストの皆さん、それぞれ役のオファーを受けたときの感想は?
亀梨和也
ちょっと一風変わった設定ですが、サイコパスというワードを受け取ったときに、これまでも数多くあるサイコパスをテーマにした作品がある中、僕はどうやってそれを表現しようということを考えました。でもやりようがありすぎて、撮影に入ってから手探りというよりは、前もって定めておきたいと思って、プロデューサーや三池監督とクランクイン前にお話をさせていただきました。
そうしてみんなでひとつの答えを持ちながら撮影に挑めたので、すごく心強かったです。
菜々緒(警視庁のプロファイラー・戸城嵐子/としろらんこ 役)
まず、警視庁のプロファイラー役を果たして私ができるのかという若干の不安と、サイコパスと対峙する中で、嵐子というキャラクターをどう演じていくか?というのは、原作も読んで考えました。原作に登場する何人かの男性警察官をミックスさせたものが嵐子だということと、やっぱり独特の世界観なので、キャラクターがどのように立つかということを考えながら挑みました。
衣装合わせのときに、「嵐子にもサイコパス要素を取り入れてほしい」と三池監督からリクエストがあって、原作とは違う嵐子を一から作っていきました。
吉岡里帆(二宮の婚約者・荷見映美/はすみえみ 役)
物語が、サイコパスと連続殺人犯を戦わせるという構成になっていて、それがまず面白いなと思い、主人公の二宮がサイコパスであるんですけれど、そういった自分自身に揺れるという点がすごく魅力的なキャラクターで、その揺れさせる一人になれるということで、是非演じたいと思ったので、嬉しいオファーでした。
染谷将太(サイコパス外科医・杉谷九朗/すぎたにくろう 役)
三池監督の新作で、サイコパス役ですって聞いて、光栄です!と、台本開く前からワクワクしていました。
実際に台本を読んでみたら、人間性というか、サイコパス=悪い人とかではなく、人間ってどういう欲求で、どんな本質を持っているのかということを解体していくような作品だと感じました。
そんな作品に作品できることが嬉しかったです。
■亀梨くんはサイコパスっぽいよね
‐それぞれのキャスティングの理由は?
三池崇史監督
逆にキャスティングが素晴らしいので、監督として選んでいただいたという感じです。
ただ、みなさんそれぞれで活躍のフィールドを持って、自分の生き方を貫いている人たちなので、この作品で出会えたということは運命ですよね。それはスタッフも同じで、作品の魅力に引き寄せられて、誰が現場に集まってくるかということが一番大きいです。
捻じ曲げることなく、自然の流れの中で出会う人たちを一番大事にしています。
‐実際に撮影されて、亀梨さんの二宮はいかがでしたか?
三池崇史監督
誰がどう見ても(亀梨くんは)サイコパスっぽいよね。
亀梨和也
ずっと言うんですよ。だんだんそのように自覚しないといけないのかなって思ってきます(笑)
三池崇史監督
ある意味、誰もが二面性を持っていて、もちろん僕もそうで、監督・三池を演じて生きているところがあります。
長く生きているうちに、虚像と言いますか、そういう側面ができてくる。
“亀梨和也”というアイドルとしてずっと貫いてきた、自分から生まれたものではあるんだけど、築き上げられた人格といつも同居している。
そういうところで、たぶん、僕たちが台本を読んで、二宮ってこんな奴かなって思う感じと、亀梨くんが思う二宮とは感じ方が違うと思うんですよ。
その微妙なニュアンスの違いを、話し合って、言葉で形にしてお互い理解し合う。でもそれは微妙に違う感覚的なものを殺してしまう気がして、役についての解釈の話し合いはごく簡単なものにしました。あとは、お互いに感じたものをぶつけ合う。
■それぞれの役を演じてみて
亀梨和也
僕はこの仕事を始めて25年になります。自分の年齢と芸能界にいる年数が同じになったとき、すごく考えさせられたテーマであって、もともとアパート育ちの男の子だった僕は、おしゃれな世界で生きさせてもらっている時間の方が長くなっていく。これはどっちがほんとうの自分だろうと思うことがあります。リビングに畳を敷いて、当時の自分の感覚を思い返そうとすることもあります。
この映画におけるそのテーマは非常に大きいなと思います。監督が今おっしゃったように、現場でお芝居についてああだこうだというのはほとんどありませんでした。絵的な見せ方ではもちろんありましたけれど。
だから、このプロモーション期間で、俺はああいう人間なんだ、だから現場で自然に立つことができていたんだと腑に落ちました。
‐監督、菜々緒さん演じる戸城嵐子については?
三池崇史監督
一点不安だったのは、こんな綺麗な警察官いる?みたいな(笑)
でもそれを隠す必要もないし。
ただ、いつも僕の作品に出てもらうときって、けっこう際どいんですよ。ほとんど衣裳じゃないじゃんって。
でも今回はスーツで、しかも無造作に羽織っているという感じで、でもスタイリッシュという感じは、スタイリストと話して方向性を決めていきました。
それがいったん決まると、菜々緒さんはこちらが求めている方向性を理解してくれて、一緒に作っていってくれた。
僕らは外側から見るんですけれど、演じる側の菜々緒さんはは裏側から、肌で感じるもので表現してくれる。
‐菜々緒さん演じる戸城は男性社会にいる女性で、足の開き方からいつもの菜々緒さんとはぜんぜん違いました。
菜々緒
はい。そこまで見ていただいてありがとうございます。戸城嵐子は、男性社会の中で孤立しながらも、自分の使命・信念に執着して突き進んでいく女性なので、そういった立ち振舞や気だるそうな感じや、そういったところを細かく演じました。
警視庁の中で、上司から指示されたときに、首をかきながら立ち上がる仕草も、監督から演出があったものです。
‐監督、吉岡さんと今回ご一緒されていかがでしたか?
三池崇史監督
僕は血がいっぱい出る映画を撮ってきたので、これまで吉岡さんと一緒にお仕事をすることは無いんだろうなって思っていました。でも一度ラジオで対談させてもらったとき、これはやっぱり違うぞ!って感じたんです。
吉岡里帆
私は三池さん作品は昔からたくさん観ているので、いつかご一緒したいなと思いつつも、私も三池さんは私を呼んでくれなさそうだなって、どっかで感じていました。なので今回はほんとにビックリして、すごく嬉しかったです。
台本を読むと、たしかに他の作品のサイコパスとは違う風合いのサイコパスなので、「あぁ、そうか。こういう役だと三池さんは私をキャスティングしてくれるんだ」という新しい発見がありました。
‐新たな扉を開いたという感じですか?
吉岡里帆
開かされましたね。ほんとに開きました。
撮影初日から、さるぐつわをされるシーンで・・・
亀梨和也
(爆笑)
あれ、初日だもんね!
吉岡里帆
まだ誰にもご挨拶していない段階で、いきなりさるぐつわを付けられて・・・でも三池さんは「ごめんね、こんな初日で」ってゲラゲラ笑っていて。
初日からこれ?って思いました(笑)
‐三池監督、染谷さんとはいかがでしたか?
三池崇史監督
これまでもいろんな作品に出演してもらってますが、映画の中にすごく良い波を作ってくれる俳優さんです。僕にとっては最強の武器だと思っています。
今回初めて、映画が終わるまで生きてました(笑)
これまでは最初に登場していきなりはじけたり、途中でリンチを受けたりして、エンドロールまで生きていた試しがないんです。
なので、エンドロールが流れる段階でもまだ生きていたというのは今回が初めてなんです。
染谷将太
初めてでしたね。なので逆に不安でした。死なないことに(笑)
■三池監督ってほんとに面白い人で、少年のよう。
‐染谷さんは常連ですが、三池組ってどんな感じですか?
染谷将太
とても刺激的で、心地よい緊張感がある現場です。自分にとって楽しい現場です。
‐菜々緒さんもこれまでご一緒されていますが、三池組はどんな雰囲気ですか?
菜々緒
よく、「三池さんってどんな感じ?」って聞かれるんですけれど、私が思うのは、常にチャーミングで、温かくて、でも撮影本番のときは良い緊張感でピシっとされる方。基本的には映画を楽しんで撮られているという印象が強いです。ご一緒させていただいていつも楽しいなと感じています。
‐亀梨さんは三池組をどう感じられましたか?
亀梨和也
強面で厳しい方かなという印象を持っていたので、最初は緊張していたんですけれど、お会いしてお話させていただくと、ほんとうににこやかで、ふわっと周りを包み込むような優しい方に感じました。
現場では、スタッフ、キャストと共に作品を作り上げていこう!という熱量がとても高く、そこに仲間として参加させてもらったということで嬉しかったですし、今後、(僕が)三池組の良い武器になれるようにという目標ができました。
‐吉岡さんは三池組はいかがでしたか?
吉岡里帆
三池さんってほんとに面白い人で、私、現場で何回も三池さんのことで笑ってました。
私は、子役の方たちを一緒にお芝居するシーンがあって、でもうまくいってないときがあったんです。監督が思っているような動きを子役たちができていないという。
私が外に出ていったとき、子どもたちが、ワーッ!って騒いで元気に走っていくというシンプルなシーンなんですけれど、でも「なんか違うな、子どもっぽくないな」って。
そうしたら、次のカットのときに三池さんが、子どもたちが窓から顔を覗かせているところに、ワーッって驚かせに行って、それで子どもたちがキャーッって逃げて行って、そのシーンがOKになったという。
三池さんって自身で動いていかれるんだ、みんなが良いお芝居ができたらそれでいいという、すごくスピーディで、やれることは全部やるみたいなことを私は感じました。
亀梨和也
怪物の動きも、監督自ら所作指導されてましたね。
いつもこんな感じなんですか?
染谷将太
三池さん自身がお手本で演じられることがよくあって、三池さんの方が面白いじゃんって(笑)
菜々緒
私も以前の昨日で、トイレのスッポンを顔にハメられるというのがあったんですけれど、それも監督自らがやってくれて、もうすっごいゲラゲラ笑って、ほんとに楽しそうに撮られるんです。
吉岡里帆
ほんと、そうですよね!
菜々緒
すごい楽しそうに少年のように、キャッキャ言いながら撮影をされていて、それで私も嬉しくなって(笑)
監督にスッポンされたのは強烈な思い出です(笑)
■撮影初日からさるぐつわ!
‐亀梨さんが演じられた二宮は、超自己中心的なサイコパスですが、先程もお話あったように、役柄について現場ではそんなに深く言葉でのやりとりはされなかったということですよね。
亀梨和也
そうです。クランクイン前にみんなで方向性を定めたぐらいで、撮影中は細かい動きの調整ぐらいで、あとはそんなになかったです。
逆に、撮影がどんどん進んでいくんですよ。「今、大丈夫だったかな?」って思っても、監督は、はいOK!次って。
菜々緒
たまに不安になりますよね(笑)
ほんとに大丈夫かなって。
三池崇史監督
信用されてない(笑)
菜々緒
信用してますけれど、あまりにもスムーズに撮影が進みすぎて、大丈夫かなって。
吉岡里帆
ほんとにそうですよね。怖いですよね。
亀梨和也
だから、自ずと自分でちゃんとしなければならないっていう気持ちになって、それはもう三池さんの手のひらで転がされているのかも。
‐菜々緒さんから見た、二宮のサイコパス度はいかがでしたか?
菜々緒
逆に亀梨さん以外にできる人がいるのかな?っていうぐらい、原作や台本のキャラクター像そのものでした。
‐亀梨さんは菜々緒さんとの共演は今回で3回目ですが、今回はいかがでしたか?
亀梨和也
今回の現場では、対峙するシーンが多く、良い緊張感があり、まさに無駄の無い時間を菜々緒さんと密に過ごしてました。
僕にとって三池組は初めましての方が多い中、菜々緒さんと過ごす時間が長かったんですけれど、そもそもキャスティング段階で、菜々緒さんがいらっしゃると知ったときから、ホッとしていました。知っている方がいるということで。
緊張感のある現場の中、僕が身を委ねて、阿吽の呼吸でお芝居ができる相手が菜々緒さんでした。
菜々緒
私も、亀梨さんにも三池さんにも絶大なる信頼を置いているので、お二人だったら大丈夫っていうことで現場に臨みました。
亀梨和也
ちなみに、今日は“菜々緒さん”って呼んでいるんですけれど、普段は“菜々緒ちゃん”って呼んでいて、23日の東京国際映画祭のレッドカーペット上でのインタビューでも“菜々緒ちゃん”を連呼していて、翌日のTVのエンタメニュースでそれを見て、思いっきりドレスアップしているレディに“菜々緒ちゃんはどうよ”の連呼はさすがにまずいなと反省しました(笑)
なので、決して2人の距離が遠くなったわけじゃないんですけれど、今日1日は“菜々緒さん”でいきますって、さっき裏で話してました(笑)
‐亀梨さん、吉岡さんとの初共演はいかがでしたか?
亀梨和也
これまで一方的に見させてもらっている方で、CMでもとても可愛らしいという印象を持っていました。画面上から出てくる彼女の柔らかさは、今回の作品でもそうなんですけれど、現場での佇まいは、初日から壮絶なシーンで始まったというのもありますが、キャラクターや作品に向き合っている姿や熱量に、職人気質というか、プロ意識の高さを感じて、すごいなって思いました。
ご自身の中にはきっと強いものがあるのに、我々がパッと映像で見る吉岡さんは、あんなにフワっと柔らかい、優しい空気があるっていうのは、プロだなって思いました。
菜々緒
今作のラストシーンも、この吉岡さんが、こんな感じになるの?っていう、超鳥肌でした。ラストの吉岡さん演じる映美の狂気さが私はすごく好きで、お気に入りシーンです。
吉岡里帆
お二人にそう言っていただいてありがとうございます。
‐それにしても初日からさるぐつわは大変でしたね。
吉岡里帆
そうなんですよ。三池さんって、ほんとに小学生の男の子みたいというか、バイオレンスシーンを撮っているときの三池さんの目のキラキラ感がすごすぎて、絶対に期待に応えないとダメだっていう、この子がほしいと思っているプレゼントを絶対に用意しなきゃダメだっていう気持ちにさせられるんです(笑)
菜々緒
めっちゃわかります!
吉岡里帆
キラキラした目で「できるよね?」って。
それはもうこちらとしたらやりますよ(笑)
‐亀梨さん、染谷さんとも初共演でしたが、いかがでしたか?
亀梨和也
嬉しかったです。これまでの作品も拝見させていただいていますし。でもほんとにすごいんですよ。その才能はズルイなって。
現場にもふわぁっと風のようにいるんですが、本番もそのままの流れで。バーンって切り替えてとかなじゃく。
染谷将太
まさにサイコパス?(笑)
亀梨和也
今回、染谷さんの撮影期間は2日間だけですよね?
でもめちゃめちゃ存在感があるじゃないですか。
吉岡里帆
2日に見えない!
亀梨和也
すごいなぁって。めちゃめちゃ出てるように見える。
ここは見せなきゃ!っていうことじゃなく、自然体の流れの中で、表現で魅了できるってすごい。
僕の場合、“亀梨和也”のパブリック・イメージは、 ビシっといつも決めている感じを皆さんも持っていると思いますが、家ではけっこうだらけてたりするんです。なので、表では“亀梨和也”のスイッチを入れているんです。
でも、染谷さんは、そういう切り替えがなくて、自然体に見える。どこでスイッチを入れられているんですか?
染谷将太
あんまり考えてないですね(笑)
でも亀梨さんもすごくリラックスして現場にいらっしゃってて、ずっと集中されているけれど、深く入り込むというよりは、アイドリング状態で居るなと感じてました。
菜々緒
二人の間でインタビューが始まりました(笑)
亀梨和也
でも、染谷さんからは学びがありました。
■この作品は近い将来の人たちに向けたメッセージ
‐改めて本作はどのような作品に仕上がりましたか?
三池崇史監督
サイコパスとシリアルキラー(連続殺人犯)との対峙。形上はそうなんですけれど、僕の中では、近い将来の人たちに向けたメッセージでもあります。いつか自分がこういうことに立ち向かわなければいけない事態におそらくなっていくだろうと。
サイコパスサスペンスとか、バイオレンスとかの枠を超えた、近い将来の人間が体験する物語だと思っている作品です。 そういう意味でも、ちゃんと作れた作品だなと思っています。
それを皆さんにも感じ取っていただければなと思っています。
亀梨和也
メッセージがとても深い作品です。どのように受け取るか、観るかによって、ぜんぜんその表情を変えてくれる映画に、監督が仕上げてくれました。
なので、観終わったあとに、みんなで話してもらって、こういう解釈もあるのかという発見がある映画作品になってくれたらなと思います。
現代って、SNSもそうですけれど、ときに血が通っていないものや、体温を感じられないものも含めて、その状況、その世界の中での立ち位置や思考を構築していかなくてはならない時代になってきている。
そういった中、ほんとうの自分や、人の人との出会いや、人の温もりってなんだろうなってことをすごく考えさせられる映画だなと感じています。
表面的なすごく強いサイコパス、連続殺人鬼・怪物というワードのその奥にあるものをキャッチしていただけたら嬉しいなと思います。
菜々緒
サイコパスや怪物のビジュアル、そしてサスペンスとなると、気圧される人もたくさんいると思うんですけれど、観ていただくと、人間ってなんなんだろう?とか、人間それぞれの育った環境によって、どんなものにでもなれるんだっていうことを強く感じた作品です。
観終わった後に、いろんな方と議論していただけるような深い作品になっています。何回も観ると、その度に新しい視野で観れる作品になっています。
吉岡里帆
『怪物の木こり』は裏切りが多い作品だと思っています。何度も何度も裏切られます。(サイコパスというテーマは)出尽くしていそうなのに、こんなに新しい映画ができるんだって、私も観て驚きました。
是非それを体感していただきたいですし、今日はハロウィンということで、いろんな仮装をして楽しんでいる方もいらっしゃると思いますが、人間なんて、普通に生きているだけで、みんな心に仮装をしているし、そういうことにもハッと気づくような作品です。
その意味でも、ハロウィンの今日はピッタリだなって思います。是非いろんな方に楽しでいただきたいです。
染谷将太
サスペンスということで、犯人は誰だ?という謎ももちろんですし、ハラハラドキドキして観たあとに、まさかの感動が来るという、僕はそこにビックリしました。
切ないんですよね。まさか最後に泣かされるって、グッときちゃって。
でもまぁ、サイコパスという切り口で描いている人間ドラマでもあると思っているので、いろんな楽しみ方ができる映画です。是非劇場でご覧ください。
■芸能界って、サイコパスの集まりだよね
ここで作品にちなんで「この中で一番サイコパスは誰!?」ということで、それぞれが思う一番サイコパスな人を同時に指さすことに。
<結果>
三池崇史監督 → 染谷将太
亀梨和也 → 染谷将太
菜々緒 → 亀梨和也
吉岡里帆 → 三池崇史監督
染谷将太 → 三池崇史監督
三池崇史監督
サイコパスって、我々の身近にいるんですよね。監修してもらった中野信子先生によると、割合で言うと、少なくとも100人に1人か2人はサイコパス。
だからこの会場にも1人いるかもしれない。
そういう中で、我々は生きていて、もちろん、サイコパスの人がみんな悪いことをするわけじゃなく、共感能力が著しく乏しいというか、言ってみれば、ひとつの強烈な個性。
亀梨和也
芸能界って、基本、サイコパスの人が多いってことですよね?
菜々緒
(サイコパスの)集まりですよね。
亀梨和也
(芸能人って)たとえばこういう場で話しして、みんなを魅了して共感させるわけじゃないですか。ということは、芸能人はみんなサイコパスっていうことでよろしいでしょうか?(笑)
‐その中でも菜々緒さんは亀梨さんを指されましたね。
菜々緒
私が演じた“戸城”のサイコパスを特徴づけたセリフがあるんですけれど、二宮のことを言っているんですけれど、それが亀梨さんに当てはまるんです。
亀梨和也
ほんとに?おかしいな(笑)
どんなセリフか、是非劇場でお確かめください(笑)
‐亀梨さんが染谷さんを選ばれたのは?
亀梨和也
さっきも言ったけど、あれほど自然体でいるのに、しっかりと現場に形を残すから。それが終わったらスッと帰られる。なのでこれはサイコパスに違いないと期待も込めて指しました。
三池崇史監督
(染谷さんが)スッと帰るのは、幸せな家庭があるからだと思う(笑)
‐吉岡さんはなぜ三池監督を?
吉岡里帆
監督がサイコパスでないと、こんなにサイコパスを魅力的に描けないはずだと思っているからです。
監督の歴代の作品を観ていても、そういう要素や人たとを愛しているのがわかる。だって、二宮のことを絶対に嫌いになれないですもん。あれは悪だ!って言えないというところまで、サイコパスのキャラクターを作り上げることができるのは、亀梨さんの力もとても大きいですけれど、監督自身がサイコパスだからだと思います。
‐染谷さんはなぜ三池監督を?
染谷将太
こんなに面白い映画を作れるって、サイコパスですよね。(映画を撮るということは)たくさんの人を動かしますし、それをやれるっていうのは、サイコパスが良い形で出ている、映画サイコパスだと思います(笑)
三池崇史監督
まぁ、けっきょく、みんなサイコパスっていうことですよね。ここに集まっていただいている皆さんにもそういう面があるし。
昔から、良者と悪者、正義と悪という構図で戦わせて、ドラマや映画が作られてきましたが、実はそこには境界線はあまりなくて、誰の心にもたぶん、サイコパスという共感能力を持たない部分が眠っているんだと思うんです。
法律がある社会の中でうまく生きていくために、(サイコパスな部分を)忘れている、仕舞い込んでいる。いろんな引き出しを持っている。そうじゃないと、今の世の中で生き残れないですからね。何かが起こったときに、それが覚醒するという、そういうシームレスな感じで、特別な悪魔がいるんじゃなくて、みんなの心の中に潜んでいる。愛情がきっかけで覚醒したりすることもある。
映画では、サイコパスを悪魔的な扱いをすることが多いですが、決して特別なことじゃない。
唯一、普通に見えていた吉岡さん演じる映美が、最後にサイコパスの罪を消し去るんです。しかも暴力によって。そういう作品なので、どこかに共感してもらえると思います。共感できるっていうことはサイコパスじゃないんだっていうことではなくて、サイコパス的ななにかを持っているので共感できるっていう、そういう作品だと観てもらえると嬉しいなと思っています。
■最後にメッセージ
亀梨和也
映画を観て、なにか感じ取っていただいたものを、いろいろ話してもらえる作品になっています。そういう意味でも様々な角度で捉えてもらえると嬉しいなと思います。12月1日の公開に向けて、自分自身も様々な方々に届くように、これからの時間を過ごしたいなと思います。
引き続き皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
■フォトギャラリー
[写真・記事:三平准太郎]
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主題歌:SEKAI NO OWARI「深海魚」(ユニバーサル ミュージック)
製作・配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023「怪物の木こり」製作委員会
公式サイト:kaibutsunokikori.jp
公式 X:@kaibutsukikori #怪物の木こり
2023年12月1日(金)劇場公開
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