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漂流ポスト

「大切な人への想いも風化させない」3.11から10年。映画『漂流ポスト』舞台挨拶

3月10日(水)、アップリンク渋谷にて、映画『漂流ポスト』の上映前舞台挨拶が行われ、主演の雪中梨世と清水健斗監督が登壇。作品づくりの経緯や、3.11と作品に込めた思いが語られた。

“漂流ポスト”とは、「手紙を書くことで心に閉じ込められた悲しみが少しでも和らぎ、新たな一歩を踏み出す助けになるなら」という想いから、被災地である岩手県陸前高田市の山奥に建てられた郵便ポスト。
当初は東日本大震災で亡くなった人への想いを受け止める為のポストだったが、今では病気や事故など、震災に限らず亡くなってしまった最愛の人に向けた想いを手紙に綴り、届ける場所になっている。震災から9年以上経った現在も多くの手紙が届き、その数は500通を超える。手紙は同じ境遇の人々にシェアされ、心の復興を助けている。

本作は、ニース国際映画祭 最優秀外国語短編映画グランプリ、ロンドン国際映画祭 外国語長編作品部門 最優秀助演女優賞(神岡実希)、バルセロナ国際映画祭で審査員賞など、海外の映画祭で多数の映画賞を受賞。満を持して3月5日よりアップリンク渋谷にて凱旋公開となった。

舞台挨拶レポート

-東京での公開を迎えた今のお気持ちは?

雪中梨世
今回主人公のイケウチソノミ役を演じております。雪中梨世です。本日はご来場ありがとうございます。この作品は監督をはじめ多くの方々が3.11を風化させないっていう強い思いで完成した作品です。なので10年という節目の年に漂流ポストを上映していただけて本当に光栄です。

漂流ポスト

雪中梨世

清水健斗監督
監督の清水健斗です。本日は貴重なお時間を割いて頂きどうもありがとうございます。震災10年と言う年に、この作品が皆さんの目に届くところで上映できるということで非常に嬉しく思っております。風化が叫ばれてますが、震災当時のことを思い出してもらえるように、この作品が伝わればいいなと思っております。今日はどうもありがとうございます。

漂流ポスト

清水健斗監督

-この漂流ポストとは手紙を書くことで、ここに閉じ込められた悲しみが少しでもやわらぎ、新たな一歩を踏み出す助けになるならという思いから被災地である岩手県陸前高田市の山奥に実際にある漂流ポストは、震災で亡くなられた方々の思いを受けとめるためのポストだったんですけども、今では病気や事故、震災に関わって亡くなられた方々に思いを届けたいということで、手紙を書いたりできる場所となっております。まず漂流ポストについて、映画を創りたいと思ったいきさつなどを監督の方からきかせていただければと思います。

清水健斗監督
私自身、CM制作会社で働いていまして2011年に岩手で撮影を控えていて3月12日にも僕は岩手に行く予定だったんですが、その前日に震災が起こって自分が見てきた場所やお世話になった方が苦しんでるというのを目の当たりにしてボランティアに参加してそこで避難所とかで被災されている人達の声を直に聴いて、何か映像に関わっている人間としては、映像で被災地の今を伝えていかなきゃいけないなというところでまず、制作したいなと思いました。

-監督は実際に漂流ポストを管理運営されている赤川さんから直接お話を聞いたということでしたけども、脚本に取り入れたエピソードとかそういうお話があったんでしょうか?

清水健斗監督
実際に取材していく中で今回の作品と同じような方がいらっしゃったというのをうかがって、そこから脚本に肉付けしていきました。ポストの前でなかなか手紙を出せず、うろうろしてしまうことであったりだとか何かしらの天を見上げるだったりとかそういった行動がやはりその手紙を出しにきた方々はよくするとか色々そういったものも調べて、演技の中に落としていった感じですね。

漂流ポスト

-これはドキュメンタリー的にとったということもおっしゃってますけど、どういうシーン、これから観る方なのであまり具体的に言えないかもしれないんですけど、どんなシーンに工夫されたんでしょうか?

清水健斗監督
物語の終盤にですね、今回実際の手紙を使っていまして、その手紙を読むシーンがあります。その部分ですね。そこで実際に撮影中…撮影してると言わずに一番最初にみたアクションを映像の中に取り入れています。

-雪中さんは、ポストに届いた手紙を読んで、どんな気持ち・感想だったりとか、その時はどんなことだったのでしょうか。

雪中梨世
その手紙に綴られている一文字一文字っていうのが今までにその資料としてみた震災の映像だったり、本だったりとは違う重みを感じましたね。やっぱりそれを見てこの手紙に綴った方たちの一歩踏み出した勇気っていうのは絶対に伝えていかなきゃなという覚悟の気持ちになりました。

-その手紙を書くシーンを撮影したということで、ご自身の実際に救われたという思いをうかがったのですが、どういったことだったのでしょうか?

雪中梨世
手紙を書くシーンでは、実際に亡くした祖母に当てて書きました。その身と同じ心情だったので、その一文字一文字、自分の思ってることを書くにつれて、なんか不思議とやり場のない気持ちだったのが感謝に変わったんですね。それは本当にあの場所の…とか赤川さんっという存在にすごく救われました。

漂流ポスト

-最後にまだこれからご覧になる方にメッセージをお願い致します。

雪中梨世
この作品は3.11を風化させないっていう大きなテーマではあるんですがもう一つ、大切な人への想いも風化させないっていうことにもつながってくるんじゃないかなと思います。ですのでこの作品で一人でも多くの方が大切な人へ想いを馳せる時間を過ごしていただけたらなと思います。本日はありがとうございます

清水健斗監督
震災後10年ということで直接被災していない方でも何かしら被災は2011年にしていると思うんですね。なのでそこを僕は間接的な被災者という表現をつかわせていただいてるんですが、そういう震災の中心にいなかった人たちも何かしら影響を受けてると思いますし、そういう人たちがやはり忘れないということが一番、被災地に対する恩返しであったりとか、僕らがやらなくてはいけないことなのかなと思っていますので、この作品がその手助けになるような作品になればいいなと思っております。是非御覧下さい、本日はありがとうございます。

漂流ポスト

映画『漂流ポスト』

STORY
東日本大震災で親友の恭子を亡くした園美は、心のどこかで死を受け入れられず日々を過ごしていた。
ある日、学生時代に恭子と埋めたタイムカプセルが見つかる。
中には『将来のお互い』に宛てた手紙が入っていた…。蘇る美しい思い出と罪悪感。
過去と向き合う中、震災で亡くなった大切な人へ届けたい言葉・伝えることができなかった想いを綴った手紙が届く【漂流ポスト】の存在を知った園美は、心の復興を遂げることができるのか・・・

出演:雪中梨世 神岡実希 中尾百合音
 藤公太 永倉大輔
監督・脚本・編集・プロデュース:清水健斗  撮影監督:辻健司  録音:田原勲
メイク:大上あづさ  制服:下山さつき  音楽:伊藤明日香
撮影協力:赤川勇治 漂流ポスト3.11 配給:アルミード
(C)Kento Shimizu
2018/日本/カラー/30分/シネスコ/ステレオ
公式サイト:https://www.hyouryupost-driftingpost.com/
公式ツイッター:@hyouryupost
公式Facebook:hyouryupost.film

公開情報
3/5(金)~3/18(木) アップリンク渋谷
3/5(金)~3/11(木) アップリンク京都
3/5(金)~3/19(金) 盛岡ルミエール
公開日未定 横浜・ジャック&ベティ

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