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映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

吉沢亮「やっぱり気持ちは伝えなきゃ伝わらない」映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

2024年9月5日、新宿ピカデリーにて、映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会が行われ、吉沢亮、忍足亜希子、呉美保監督が登壇。ろう者の母を持つ息子役を演じた吉沢亮と、自身もろう者で俳優の忍足亜希子が撮影を振り返りつつ、本作の見どころを語った。
 
本作は、作家・エッセイストとして活躍する五十嵐大の自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたごくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊) を原作に、第38回モントリオール世界映画祭最優秀監督賞、キネマ旬報ベスト・テン1位に輝いた『そこのみにて光輝く』、『きみはいい子』等で国内外にて高く評価される呉美保監督が、吉沢亮を主演に迎え、『正欲』『アナログ』の脚本も手掛ける港岳彦による脚本で作り上げた。
本作は、第26回上海国際映画祭コンペティション部門出品の他、今年10月開催されるロンドン映画祭コンペティション部門、バンクーバー国際映画祭パノラマ部門への正式出品も決定している。

舞台挨拶【完全】レポート

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子/吉沢亮/呉美保監督

呉美保(お みぽ)監督
今日は、たくさんの方に映画のお披露目の会に来ていただいてすごく嬉しいです。よろしくお願いします。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

呉美保監督

忍足亜希子(おしだり あきこ)(五十嵐明子 役)
(吉沢亮さん演じる五十嵐大の)お母さん役を演じました忍足です。本日は本当にたくさんの方々に来ていただいてすごく嬉しいです。ありがとうございます。
※音声発話は手話通訳によるもの(以降同じ)
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子

吉沢亮(よしざわ りょう)(五十嵐大 役)
ようやく公開の日も近づいてきて、皆様がこの作品を通してどんなことを感じていただけるのか、すごくドキドキしております。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

吉沢亮

‐本作は、第43回バンクーバー国際映画祭、第68回ロンドン映画祭に正式に出品されることになりました。すでに6月の上海国際映画祭にも出ているんですけれども、本当に素晴らしいことです。北米、ヨーロッパでのプレミア上映が決まったということですが、皆さんの今のお気持ちをお伺いできればと思います。
 
吉沢亮
本当に光栄な限りです。国や文化を問わず、観ていただいた方に伝わる普遍的なテーマなんだなというのを改めて思いましたし、これからもっともっと多くの方にこの作品が広がってくれると嬉しいなと思います。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子
日本だけでなく、海外の方々にたくさん観ていただいたということがとても嬉しいです。もっとたくさんの人たちにコーダ(*)の世界があるということを観ていただいて、どういうことを感じていただけるのかなということを考えながら、楽しみながら観ていただけたらなと思っています。
*コーダ(CODA):Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

呉美保監督
6月に、この3人で上海国際映画祭のレッドカーペットを歩かせていただいたですけれども、国や文化を超えて、たくさんの方に通じる物語なんだなということを目の当たりにできて、そこからヨーロッパ、北米と広がっていって、公開を待たずして、こういう朗報を立て続けにいただいたのはすごく嬉しいです。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

‐吉沢さんが本作への出演を決心されたきっかけは?
 
吉沢亮
呉監督の作品は今まで見させていただいていて、とても大好きな世界観で、いつかはご一緒できたら嬉しいなとずっと思っていたんです。なので、呉監督の作品のオファーだからというのもそうだし、台本になるまでのプロットも見たんですが、それを読んだ時に、描かれているその普遍的なテーマ、家族の関係性、親子の愛情の変化に強く共感できたんです。純粋に素晴らしいお話だなて思ったので、是非ともやらせていただきたいと思いました。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

‐忍足さんは、ろう者の俳優としてこれまでも活躍されてますが、本作への出演を決められたのは?
 
忍足亜希子
まずは、呉監督の元で是非演じてみたい、一緒に一つの作品を作りたいと強く思っいました。そして、吉沢亮さんと一緒に演技をすることも初めての経験でした。
この物語の母の人生、そして息子の人生、2人の成長の姿に感動したので、ぜひ参加したいと思いました。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

‐呉監督にとって久しぶりの長編映画となりましたが、吉沢さんと忍足さんのキャスティングの決め手は?
 
呉美保監督
私は、子どもを育てていまして、9年ぶりに長編映画を撮ることになったんですが、毎日毎日育児と向き合いつつ、いつか映画を撮れたらなぁってふんわりと思いつつ。で、いつか映画を撮ることができるならどういう人とやりたいんだろうということを考えながら、自分の時間の中で映画やドラマを観たりする中で、吉沢さんのことが、とても素敵だなと思ったんです。
吉沢さんは美しい人なんですが、その中にある楽しくない何かを、私は自分のこの目で見たくて。
今回のこの企画をいただいたときに、これはまさに(吉沢さんと)フィットすると。とても相性がいいんじゃないかと思ってお願いさせていただきました。
で、忍足さんですが、彼女の作品はもちろんこれまでも拝見していましたが、今回初めてお会いさせていただいたんです。そのとき、忍足さんに映画の1シーンをやってもらったんです。私はもちろん忍足さんの娘ではないんですが、お母さんにこんなことを言わせてしまった申し訳無さでいっぱいになって、 この方に是非やっていただこうと心から思いました。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

呉美保監督

‐港岳彦さんの脚本を初めて読まれたときの印象は?
 
吉沢亮
さっきも言った通り、普遍的なテーマで、書きようによってはちょっと悲しげだったり、暗い物語にもなりそうなところを、全っくそういった雰囲気がなく、登場人物みんな、破天荒な部分があったり、とてもチャーミングで温かみを感じたんです。それがとても印象深かくて、これを呉監督が撮るとなると、すごい作品になるだろうなっていう予感がしました。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子
港さんの脚本はどんどん私の心の中に入ってきました。どんどん読み進めまして、息子や母のいろんな気持ちや葛藤、そして、今後のことまでも書かれていて、とても感動して、時々泣きそうになるのも我慢して最後まで読み進めたという状況で、本当に素晴らしい脚本だと思いました。
 
呉美保監督
港さんとの脚本はこれまで2本あったんですが、どちらも成立しなくて、本作が3度目の正直なんです。
今回は絶対に成立させたいという一心で、一緒に台本について、ずっと話を続けて、どういう構成にしようと、主人公も含めて、登場する全ての人たちの生きている姿がちゃんと豊かに描けるようにしようということをとことん話し合いながら作りました。なので(映画が完成して)、すごく嬉しいです。
 
‐吉沢さん、本作で聴覚障害の親を持つ息子役を演じるにあたって、どんなことを意識されましたか?
 
吉沢亮
もちろん、コーダとして生まれたという部分はありつつも、たぶんどの家庭でもある思春期の男の子の悩み、それは、自分が失敗したことを全部親のせいにしたくなったりという、それがたまたまコーダという環境で生まれたから、自分はコーダだから、こんな辛い思いをしているんだみたいな風に思い込んでいる。
本人にとってはすごく重大な出来事だけど、周りから見たら、そういうのもわかるみたいな、その距離感はすごく意識していたのかなという感じです。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

‐そして、実際に1児の母でもある忍足さん、耳のきこえる息子の母として、どういうところを意識して演じられましたか?
 
忍足亜希子
私は、実際に今中学1年生の娘がいますし、その娘はコーダということですが、劇中の息子と重なるような想いで演じました。今後、どのように成長するのかなと思っていましたけども、ただ、息子と娘の違いはあるのかなとも思いました。
息子はやっぱり母親に対して反抗するというところにいろんな想いがあるんじゃないかなとイメージして、母としての気持ちを作っていくように作品に参加してきました。
 
‐吉沢さんは忍足さんと親子役として共演されていかがでしたか?
 
吉沢亮
とても温かい方です。忍足さんと今井(彰人)さんの手話は、現場でも本当にすんなりと入ってくるんです。もちろん僕が素人だから分かりやすくやってくださるのはもちろんだとは思うんですけど、何を言っているかが分かって、そこに僕が勝手に愛情を感じていて、本当に温かい両親だなと思いましたし、一緒にお芝居させていただいていても、とてもチャーミングで素敵なお母さんだなと思いながら演じていました。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

‐忍足さんは吉沢さんと共演されていかがでしたか?
 
忍足亜希子
息子を持つというのは、ほんとにドキドキワクワクという気持ちでしたけど(笑)、吉沢さんは本当に素晴らしい息子で、手話も本当に自然に少しずつ習得されて、息子としての手話表現を見て感動していました。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子/吉沢亮

▼最後にメッセージ

呉美保監督
さっきも話しましたが、この話はコーダという耳がきこえない両親に育てられた、耳がきこえる息子の物語ではあるんですけれども、どこにでもある親子の感情を描いていると思っていますし、あともう一つは、私は今回手話に出会って、目と目を合わせてするコミュニケーションの気づきがありました。私達、聴者(耳が聴こえる者)がどれだけ目を合わせて話せているかなみたいなことを改めて考えさせられる映画になったと思っています。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、これまでにない新しい感覚の映画だと思います。今後、いろんな世界、また、家族の形っていうのが、そもそもたくさんあるわけですけれども、この“ろう”の世界、手話の世界、聴者の世界、男の世界、女の世界、コーダの世界、いろいろな世界があって、そういったことを是非たくさんの方々に感じていただいて、どのように受け止めるのかなというのを私も楽しみにしています。最後まで映画を楽しんでいただければ嬉しいです。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

吉沢亮
言いたいことはたくさんあるんですけど、この作品を見て皆さんがどう思うのかっていうのは、本当に人それぞれあると思うんですけど、僕が今回この作品に参加させていただいて、改めて、言葉を伝えるということの重要性、日常を生きていて、ただただ言葉を吐き捨てる瞬間だったりとか、敢えて人に対して自分の周りに壁を作って、自分の想いを伝えるという作業を止めてしまうことがあると思うんですけど、今回の手話と出会って、やっぱり気持ちは伝えなきゃ伝わらないし、今、自分は怒っているよとか、今悲しい思いをしているよということを全てを伝えてくれる、手話という言語は本当に愛に溢れていて、素晴らしい世界だなと思ったんです。
この作品を観て、伝えるって大事だなことを感じていただけることがあれば、僕はとても幸せだなと思いますし、今日観ていただいて面白いなと思ってくださった方は、是非公開してからも劇場に足を運んでいただいて、この作品も想いを周りの方々に伝えていただいて、一緒にこの作品を盛り上げてくださったら嬉しいなと思っています。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

忍足亜希子/吉沢亮/呉美保監督

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会

■フォトギャラリー

[記事・写真:三平准太郎]

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

《INTRODUCTION》
2014年モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門最優秀監督賞に輝き、第87回アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表作品に選出、そして 2014年キネマ旬報ベスト・テン1位に輝く『そこのみにて光輝く』の監督・呉美保が、9年ぶりの長編作品のテーマに選んだのは、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大さんによる自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」。
脚本を担当したのは、『ゴールド・ボーイ』(24)、『正欲』(23)等を手掛ける港岳彦。 そして、主演を務めるのは『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズ等の話題作から、作家性の強い監督作等、幅広い作品に出演し、2025年には吉田修一原作、李相日監督『国宝』の公開が控える吉沢亮。本作では、耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大の心の軌跡を体現する。

《STORY》
宮城県の小さな港町、耳のきこえない両親のもとで愛されて育った五十嵐大。幼い頃から母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常だった。
しかし次第に、周りから特別視されることに戸惑い、苛立ち、母の明るささえ疎ましくなる。心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つが・・・。

◆本作における「きこえる/きこえない」表記について:
「聞こえる」=音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。
「聴こえる」=注意して耳にとめる。耳を傾ける。
それぞれの漢字の意味するところが違うことにより意味を限定してしまうこともあるため、「きこえる」とひらがなにすることで幅広い意味合いをご理解頂ければと思い、ひらがなにて統一して表記することになりました。

主演:吉沢亮
出演:忍足亜希子 今井彰人 ユースケ・サンタマリア 烏丸せつこ でんでん
監督:呉美保 『そこのみにて光輝く』(14)、『きみはいい子』(15)等
脚本:港岳彦 『ゴールド・ボーイ』(24)、『正欲』、『アナログ』(23)等
原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊)
企画・プロデュース:山国秀幸 『オレンジ・ランプ』(23)、『ケアニン』シリーズ等
手話監修協力:全日本ろうあ連盟
製作:「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会(ワンダーラボラトリー/博報堂 DY ミュージック&ピクチャーズ/ギャガ/JR 西日本コミュニケーションズ/アイ・ピー・アイ/アミューズ/河北新報社/東日本放送/シネマとうほく)
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/FutatsunoSekai/
公式X:@FutatsunoSekai_

予告編

YouTube player

9月20日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

本ポスター

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