さいはて

【インタビュー】北澤響「保身に走ることは絶対にやめて、自分を剥き出しに。」初主演映画『さいはて』

越川道夫監督作品『さいはて』で、長編映画初主演を務めた新進気鋭の若手俳優・北澤響(きたざわ ひびき)に、本作での取り組みや、俳優としての今後の想いなどを聞いた。

夜の街で出会った虚ろな女性と秘密を抱える塾講師の幻想的かつノスタルジックな逃避行を描く本作のメガホンを取ったのは、50歳から映画監督を始めた越川道夫監督(『海辺の生と死』ほか)。
北澤響の共演は、出演作が立て続けに公開される演技派・中島歩。

ある日、居酒屋で知り合う若い女性モモ(北澤響)と、40歳の男性トウドウ(中島歩)。夜の街で手をつなぎ、「靴が鳴る」を歌いながら歩く二人。やがて二人は互いを求め合い、身体を交わす。翌朝、昨晩の記憶をたどりながら「道行みたいだね」と語るトウドウ。その言葉の意味を理解したモモは黙って彼に泣きつく。それぞれに辛い過去を持つ二人は海を目指して、この世界から逃げる事にする。

北澤響 インタビュー&撮り下ろしフォト

■「保身に走ることは絶対にやめよう」

さいはて

北澤響

-長編映画初主演のお話をいただいた時のお気持ちは?

北澤響(モモ 役)
純粋に嬉しかったです。同時に映画の経験があまりないので、不安もありました。
でもそれ以上に楽しみの気持ちもあって、是非やってみたいと思う気持ちの方が大きかったです。

-最初に脚本を読まれたときの印象は?

北澤響
セリフが話し言葉じゃない感じとか、ラストの展開とか、これが映像になったらどうなるんだろうと、さらに楽しみになりました。

-2022年12月の公開決定イベントで、越川監督から「できるだけ自分のすべてをもってきてほしい。」と言われたとおっしゃられてましたが、それを受けて、どういう取り組みをされましたか?

北澤響
現場では、「保身に走ることは絶対にやめよう」と思って、自分を剥き出しにするぐらい思いっきり全力で取り組みました。

-なるほど。同じイベントで共演の中島歩さんが、北澤さんのことについて「とにかくまっすぐな方」「全身全霊できてくれる」と語られてましたが、それに繋がっていったというわけですね。

北澤響
そうですね、そこに繋がっていったのかもしれないです。

さいはて

-越川監督も「北澤さんはとにかくまっすぐな方」と話されてましたが、その言葉を受けていかがですか?

北澤響
確かに、完成した映像を見ると、自分が演じた“モモ”が思った以上にすごくまっすぐに映っているなと思いました。ちょっと自分でも恥ずかしくなるぐらい全力だなって感じがしたので、監督がおっしゃるとおり、ほんとにまっすぐにしか走れないっていうのは納得です(笑)

-そのまっすぐさに、監督も中島さんも引っ張ってもらったとも話されてましたね。結果としては良かったなと思われてますか?

北澤響
自分が出せるものはすべて出せたので良かったのかなって思っています。

-映画出演をずっと目標にされていた北澤さんが、主演でしかも登場人物がほぼ中島さんと2人でずっとスクリーンに映っているという作品を経験されてみていかがでしょうか?

北澤響
映画もあまり出たことがないのに、初めての主演で、しかもほぼ2人っきりっていうのは、今思い返せばとてもありがたいことだったなと思っています。
ずっと2人でやったことで生まれたものもありましたし、主演として、映画を皆で一緒に作っているという感覚もあって、今回の経験はとても良かったです。

さいはて

■「中島さんは一緒に寄り添ってお芝居をしてくれる」

-2022年の5月に、相模原市や千葉で約1週間で撮影されたそうですが、撮影期間を振り返ってみて印象に残っていることがあれば教えてください。

北澤響
たくさんあるんですけど、たとえば大きな木の下のシーンがありますが、そこに行くまでの道中が、森の中の道なき道を歩いて行くという感じで、私にはとても楽しかったです(笑)冒険してるみたいな気持ちになって。

さいはて

モモ(北澤響)/トウドウ(中島歩) ©2023 キングレコード

-海辺で水に濡れるシーンもありますが、5月だと冷たくなかったですか?

北澤響
意外に冷たくなかったです。シーンとしては緊張感のあるシーンなんですけど、私は泳ぐのが好きなこともあって、心の中のどこかで楽しみながらやっている気持ちもありました。服のまま海に入るって、普通はあまりやらないので(笑)

-共演の中島さんとは、お芝居するにあたって相談されたことはありますか?

北澤響
事前にこうしようという話はしていなくて、お互いの芝居のキャッチボールで、そこからなにかが生まれていくという感じでした。

さいはて

モモ(北澤響)/トウドウ(中島歩) ©2023 キングレコード

-撮影の合間の雑談はたとえばどういう話をされましたか?

北澤響
今まで辛かった現場の経験の話とか、中島さんの車の話とか、ほんとに他愛のない話をしてました(笑)

-そういう中島さんの印象は?

北澤響
一緒に寄り添ってお芝居をしてくれるという印象があります。なので、この作品は、中島さんとだからできたなと感じるシーンがたくさんあります。

さいはて

■「越川監督はロマンティスト」

-50歳で監督デビューされた越川監督の印象は?

北澤響
素敵な世界観を持っていて、ちょっとロマンティストな方だなという印象です。

-公開決定イベントでも、越川監督は「ダメな神様の話が好き。なので、主人公を何も助けてくれないテディベア(のロボット)が登場するスピルバーグの「AI」なんかも好きです。」と話されてましたが、それに通じるのかもしれませんね。

北澤響
はい、そういう監督の世界観が好きですね。この作品の終盤も越川監督ワールドが出ているなと感じています。

さいはて

■「私も共演者に寄り添える俳優になりたい」

-長編映画初主演の経験されて、俳優としてご自身の中で変わったことや成長を感じることなどはありますか?

北澤響
ここがこう変わったと明確にうまくは言えないんですが、自分の中の何かが変わったし、何かの糧には絶対になっているなという感覚はあります。もう少し時間が経ったら具体的なことがわかってくるのかもしれません。

-そもそも俳優の道に進まれたきっかけは?

北澤響
高校のときに舞台演劇を学んでいて、実際に舞台に立ったりしたことが楽しくて、それで今もずっと続けているという感じです。

-俳優としての今後の抱負があったら教えてください。

北澤響
今回、中島さんと共演させていただいて、先ほども言いましたが、一緒にお芝居をしてくれるなというのを強く実感したので、私も共演の方に「一緒に作品を作っているな」って思ってもらえるような役者さんになりたいです。そして、舞台、映像ともに、いろんなジャンルや作品に挑戦していきたいです。

さいはて

■「生のネギだけをいただくのが好きなんです」

-オフの日の好きな過ごし方は?

北澤響
映画館に映画を観に行くことが多いです。

-そういう北澤さんが好きな作品があれば教えてください。

北澤響
たくさんあるので、どれがというのは難しいですが、たとえば『天国にちがいない』(2019/加・仏)という映画作品がとても好きです。ブラックユーモアを交えつつ、なんでもない日常を描いている作品なんですが、私はこういう日常を映した作品が好きかもしれないです。

-好きな食べ物は?

北澤響
生の白ネギの白い部分が好きです(笑)

-何かの料理のトッピングとしてではなく?

北澤響
はい。生の白ネギをみじん切りにして、塩や味の素をふりかけて、ネギだけを食べるのが好きなんです。
でも、お口の匂いが気になるので、人と会う前日は食べないようにしています(笑)

さいはて

-最後に『さいはて』をご覧になる方へのメッセージをお願いします。

北澤響
是非、劇場でモモとトウドウ(演:中島歩)が行き着く先を見届けてほしいなと思っています!

さいはて

北澤響(きたざわ ひびき)プロフィール
1999年8月3日生まれ、東京都出身。ノックアウト所属。
資格・免許:スキューバーダイビングオープンウォーターダイバー・普通自動車運転免許
特技:ジャズダンス、(高校~5年目)ギター(ギター教室2年目)
【略歴】
高校から演劇を始め、2019年ノックアウト主催の通年ワークショップ「下北沢アクターズ・ラボ」を経て、2020年ノックアウトに所属となる。2021年劇団ノックステージ入団。
映画では2019年に全国オーディションを経て前野朋哉監督の短編映画『ぽつり、岡山』のヒロインに抜擢され、続けて2020年の短編映画『セーラー忍者かげちよ』にも主演として出演。

さいはて

■撮り下ろしフォトギャラリー

[ヘアメイク:稲月聖菜(MARVEE)/スタイリスト:矢野恵美子/写真・インタビュー:三平准太郎]

■関連動画

2022年12月22日、ユーロライブ(渋谷)にて行われた、映画『さいはて』公開決定イベントのもようを収録した動画を初公開!

映画『さいはて』公開決定イベント 2022.12.22 ユーロライブ(渋谷)

YouTube player

映画『さいはて』

《INTRODUCTION》
『海辺の生と死』『アレノ』『愛の小さな歴史』『あざみさんのこと』『アララト』など高い文学性と街に生きる人々の生と性を独自の視線で描く手法から、孤高の映像詩人と謳われる越川道夫監督の最新作『さいはて』。街に生きる人々の生と性を捉えてきた越川の温かな視線により、それぞれに喪失と空虚感を抱く男女二人の街から森へ、やがて海へと展開する旅路と目映い恋模様を映しだす、新たな傑作が誕生しました。
夜の街で出会った虚ろな女性と秘密を抱える塾講師の幻想的かつノスタルジックな逃避行を描く本作。ある日、居酒屋で知り合う若い女性モモと、40歳の男性トウドウ。夜の街で手をつなぎ、「靴が鳴る」を歌いながら歩く二人はやがて互いを求め合い、身体を交わす。翌朝、昨晩の記憶をたどりながら「道行みたいだね」と語るトウドウ。その言葉の意味を理解したモモは黙って彼に泣きつく。それぞれに辛い過去を持つ二人は海を目指して、この世界から逃げる事にする―。
ヒロイン・モモには、本作が長編映画初主演となる新進女優 北澤響。瑞々しい演技で哀しみを抱えた少女を演じる。トウドウ役には、『偶然と想像』『愛なのに』『よだかの片想い』『いとみち』などで高い演技力が評価される人気俳優 中島歩。人生に絶望した男性を哀愁漂う演技で魅せる。

《STORY》
手をつなぎ果てまで逃げる二人
ある日、居酒屋で知り合う若い女性モモと、40歳の男性トウドウ。夜の街で手をつなぎ、「靴が鳴る」を歌いながら歩く二人。やがて二人は互いを求め合い、身体を交わす。翌朝、昨晩の記憶をたどりながら「道行みたいだね」と語るトウドウ。その言葉の意味を理解したモモは黙って彼に泣きつく。それぞれに辛い過去を持つ二人は海を目指して、この世界から逃げる事にする。

出演:北澤響 中島歩
金子清文 美香 内田周作 君音 杉山ひこひこ

監督・脚本:越川道夫
製作:村上潔 プロデューサー:山口幸彦
製作:キングレコード 制作:スローラーナー
配給:キングレコード 宣伝:ブラウニー
©2023 キングレコード
公式サイト:mayonaka-kinema.com/saihate/
公式Twitter:@EroticaQueen21

2023年5月6日(土) K’s cinemaにて公開 ほか全国順次ロードショー

さいはて

ポスタービジュアル

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA