【インタビュー】菅野莉央「新しいことを体験し続けて自分自身をアップデートし続けていきたい」
20代の等身大の恋愛の危うさと歯がゆさを描いた映画『わたし達はおとな』(公開中)。本作で主人公・優実(木竜麻生)の友人・臼井を演じた菅野莉央。2歳から子役として俳優のキャリアをスタートした彼女に本作のこと、今後の抱負などを聞いた。
菅野莉央インタビュー&撮り下ろしフォト
■リハーサルをたっぷりすることでリアリティある映像に。
-『わたし達はおとな』の役が決まって、台本を最初に読んだ時の印象は?
菅野莉央(臼井 役)
オーディションを受けた時にいくつかのシーンは読んでいたのですが、全体を通して読んだ時に「こういうお話だったんだ」という驚きがありました。あと、笑いの部分もいくつか散りばめられていて、誰もがちょっとずつ見覚えのあることや経験したことのあるようなシーンがいっぱい詰まっているなと感じて、撮影が楽しみでした。
-演じられた“臼井”とはどんなキャラクターですか?また、演じるにあたって取り組まれたことは?
菅野莉央
本読みの時に加藤監督が「臼井は独特のペースと間のタイミング持ってしゃべるキャラクターにしたい」という具体的なお話があって、それを意識して、周りのテンポに影響されないように気をつけて演じました。
-まるでドキュメンタリーのような作品にも感じられる本作ですが、演じる側の立場として何か感じられたことはありましたか?
菅野莉央
今回は、映像作品としては珍しいくらいにリハーサルの時間をたっぷり取っていただいて、2週間かけて本読みや立ち稽古もして、そこにカメラの方も加わって、かなり緻密にリハーサルをしたんです。
同じシーンを何度も何度も繰り返しましたし、その結果、みんな本番では何も考えずに自然にできる状態にまで持っていけてました。
それがリアリティがあって生っぽくなっていると言っていただける理由なのかなと感じています。
-なるほど。逆に作りに作り込んだ結果、演者の皆さんが自然に動けるようになっていたということですね。
菅野莉央
そうです。
-撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
菅野莉央
すごく穏やかでしたし、加藤監督も毎シーン、毎シーン、そんなに細かくはおっしゃらないので、みんな伸び伸びと自由にやっていました。
でも、稀に役柄をはみ出した時だけは指摘してくれて、ちゃんと見てくださっているなという安心感も感じました。
-この物語のキーとなる直哉(演:藤原季節)と優実(演:木竜麻生)の関係について、菅野さんはどう思われますか?
菅野莉央
この2人が惹きあっているのは感じて、それはそれぞれの欠けたところがうまくハマってしまって、それで離れられないのかなと。
若さと言ってしまえばそれまでですが(笑)、どうしようもないけど惹きあっている感じってあるよなって思います。
-舞台挨拶で、藤原季節さんがご自分の演じた直哉を「歴史的クズ野郎」と表現してましたが、そう思われますか?
菅野莉央
そうですよね、酷いですよね(笑)
撮影現場でもみんなとそれについて話をしていたんですけど、藤原季節さんが演じることによって、直哉のことを憎みきれない、可愛いなって思ってしまう母性がくすぐられる感じがあって、あれはしょうがないかもしれないねって、みんなの意見が一致しました(笑)
■大学4年で韓国留学を決心
-菅野さんは子役時代から俳優をされてますが、物心ついて、ご自身で改めて俳優の道に進もうという意志を持たれたきっかけはありますか?
菅野莉央
小6の時に撮影した『いちばんきれいな水』(2006)という映画作品があるんですけど、1ヶ月丸々ほぼ毎日撮影があって、その現場でみんなで一つのものを作るという体験をして、小学生なりにですが、こういうものづくりの現場をまたやりたいなと感じたことが、自分の意志で俳優をやっていく転機になりました。
-菅野さんは韓国語に加えて英語もお得意なんですか?
菅野莉央
韓国に留学していた当初はまったく韓国語はしゃべれなかったので、授業はすべて英語でとっていたんです。その時に必然的に英語を覚えました。
-そもそも韓国留学しようと思われたきっかけは?
菅野莉央
大学2年の時に、韓国と日本のそれぞれの映画大学の学生による合作短編映画に参加する機会があって、その時初めて海外の方と一緒に仕事をする経験をして、まず韓国にはどういう作品があるんだろうと、韓国作品をたくさん観始めました。
それで、ポン・ジュノ監督やイ・チャンドン監督の作品にすごくハマりまして、韓国映画の勉強をしたいなと思って、大学4年の時に、大学の交換留学の制度を利用して留学しました。
-大学4年で留学ということは、その時はすでに卒業後も俳優の道を進む気持ちは変わらずだったということですね。
菅野莉央
そうです。周りが就活している中、俳優の道への覚悟を決めて留学しました。
■おうち時間が増えて料理を作る機会が増えた
-そして今は韓国料理もよく作られているとか。
菅野莉央
そうですね。コロナ禍になって韓国旅行できなくなってしまったので、恋しい気持ちがあって自宅でできる韓国料理を作るようになりました。
-よく作られる韓国料理は?
菅野莉央
チーズカッタルビはよく作りますね。あとはチーズチムタクという肉じゃがの韓国版みたいな料理も作りました。鶏肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、トッポギ、そしてタンミョンという韓国の春雨のような麺が材料で、コチュジャンなどで煮込む料理です。
-キムチは日本のスーパーでも売られてますが、韓国現地で売られているキムチとの違いはありますか?
菅野莉央
韓国現地でもお店よって個性が違って、バラエティ豊かなんですけど、日本に帰ってきて日本で売られているキムチを食べると甘いし、和食に合うような味付になっているのは感じました。
-最近は、キムチのような発酵食品を健康のために摂られているとか?
菅野莉央
これまではぜんぜん気にせず生きてきたんですけど(笑)、ここ最近は30歳手前になって、何もしないままコンディションを保つのは難しいなということに気づいてきて、食事もバランスに気をつけて、お野菜をいただくようにしたらい、発酵食品としてお味噌汁、納豆、豆腐系はほぼ毎日いただくようにしています。
■韓国に関係したお仕事をやりたい!
-最近のお気に入りのドラマや映画はなんでしょうか?
菅野莉央
これも韓国ばっかりになるんですが(笑)、「その年、私たちは」というテレビドラマにハマりました。『パラサイト 半地下の家族』にも出演されていたチェ・ウシクさんも出演されていて、韓国作品にしては珍しくヒーリングな作品です。
観終わったあともずっと挿入歌を聴き続けるほど、しばらくそのロスがすごかったです(笑)
-今後の抱負があれば教えてください。
菅野莉央
それこそ韓国のエンタメにすごく興味があるので、韓国に関係したお仕事をやりたなっていうのもありますし、役者の仕事はそれを演じる一人の人間の人生経験が強く活かされると思うので、なるべく新しいことを見聞きし、体験し続けることで、自分自身をアップデートし続けていきたいです。
-ようやくコロナも収まりつつあるので、韓国への旅行もしやすくなってくるといいですね。
菅野莉央
そうですね。お仕事で韓国を紹介したり韓国に行けたら嬉しいです!
■撮り下ろしフォトギャラリー
[インタビュー・写真:桜小路順/メイク:木内真奈美(Otie)/スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)/撮影データ:Nikon Z9、Godox 300Pro ほか]
衣裳:
ドレス¥97,900(ロキト/ALPINISME)イヤリング¥6,930 (ウーサ/Ouca)右手リング¥132,000 左手リング¥12,100(カオル/KAORU(カオル)伊勢丹新宿店)
《お問い合わせ先》
ALPINISME ☎03-6416-8845
Ouca ☎03-5708-5712
KAORU(カオル)伊勢丹新宿店 ☎03-3358-6385
菅野莉央(かんのりお) プロフィール
1993年生まれ。埼玉県出身。
2歳から子役として活動をスタートし、1997年『校長がかわれば学校が変わる』(TBS系)でドラマ初出演。
2002年『仄暗い水の底から』で映画デビュー。
女優として活動を続けながら法政大学に進学、さらに韓国の延世大学校に留学し、韓国語と英語を習得。
主な出演作として、映画『ジョゼと虎と魚たち』『世界の中心で、愛をさけぶ』『いちばんきれいな水』『悪の教典』『生贄のジレンマ』『星降る夜のペット』『RUN!-3 films-』『人数の町』『地獄の花園』
NHK連続テレビ小説「風のハルカ」「とと姉ちゃん」、NHK大河ドラマ「風林火山」「青天を衝け」、ドラマ「下町ロケット」(TBS系)、「ラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~」(テレビ東京ほか)、「エロい彼氏が私を魅わす」(FOD)、「SUPER RICH」(フジテレビ系)など。
公開中の映画『わたし達はおとな』(加藤拓也監督)に臼井役で出演している。
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映画『わたし達はおとな』
INTRODUCTION
あの時、何かを間違えたのかもしれないあの時、幸せじゃなかったのかもしれないでも、好きだったー
「私達の日常が流れていくー」
20代の恋をここまでリアルに描いた映画が他にあっただろうか?
優実と直哉の会話、2人の目線や仕草、友人との会話・・・無数の微細な“出来事”の連鎖で紡がれる脆く崩れやすい日常、成熟や堕落をまだ知らない“少女”から“女性”になる過程、甘く切ない恋のほろ苦さや歯がゆさ、そして自分の中に押し込めるしかない葛藤や、胸奥の心情を抱えた男女の姿。まるで隣の男女の生活を覗き見しているような不思議な映画体験へと観客を誘い、その切迫感と「圧倒的にリアリティのある日常」が胸に突き刺さる本作。ふたりの“生活”を通して見えてくる人間らしさや感情のグラデーションが生々しく、これまでに見たことのない恋愛映画が誕生した。
STORY
大学でデザインの勉強をしている優実(木竜麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気付く。
悩みながらも優実は直哉に妊娠とある事実を告白する。直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほどふたりの想いや考えはすれ違っていく・・・。
木竜麻生 藤原季節
菅野莉央 清水くるみ 森田想 / 桜田通 山崎紘菜 片岡礼子 石田ひかり 佐戸井けん太
監督・脚本:加藤拓也
主題歌:the engy「Sugar & Cigarettes」(Victor Entertainment)
音楽:谷川正憲
製作幹事:メ~テレ
配給:ラビットハウス
宣伝:フィノー
製作プロダクション:ダブ
©2022「わたし達はおとな」製作委員会
(not)HEROINE movies 第一回作品 メ~テレ60周年
公式サイト:https://notheroinemovies.com/otona/
全国公開中
【(NOT)HEROINE MOVIES とは】
『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズであり、次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクトです。
何ドンもされない。胸キュンもしない。
恋とか愛とか生きるとか自意識とか、考えすぎてこんがらがって。
それでももがいて生きている“ヒロイン”になりきれない“ヒロイン”たちの物語。
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