「ミク」という名前が世間に浸透したのは桂正和作品がきっかけだった。画業40周年~キャラクターデザインの世界展
5月8日(日)までの会期で、池袋・サンシャインシティにて、「40th Anniversary 桂正和~キャラクターデザインの世界展~」が開催されている。4月26日に行われた先行内覧会に、桂正和本人と、コスプレイヤーの伊織もえ、よきゅーんが登壇し、トークショーを行った他、記者のインタビューに応じた。
桂正和インタビュー
-是非見てほしいところは?
桂正和
難しいところですね。イラストにしてもデザインにしても全力で満足しているというものがないから。
でも、僕がどういう考えでこういう形にしているというのは説明しているので、そこは面白いと思っていただけるかもしれません。
-40年間続けてこられたコツは?
桂正和
いろんな新しいことに触れ続けることかな。
今は怪談にハマっているんですけど、怪談はSFに通じるところもあり、いろんなイマジネーションを掻き立てられたりします。
-よきゅーんさんと、伊織もえさんは、先生の作品のどんなところに魅力を感じてますか?
伊織もえ
キャラクターひとりひとりが、ほんとうに存在するキャラクターの思考に感じられるところです。
もちろん、キャラクターのデザインも好きですし、私服まで細かく描かれていたり。個人的にはパンツのシワが好きです。
よきゅーん
ストーリーが自分も一緒に恋愛しているかのようにハラハラ・ドキドキしたり、人間の人生の喜びを漫画を通して感じられるところです。
コスプレイヤーとして、20年前にこの制服のデザインをされていて、それは今でも可愛いと思う、色褪せないデザインを考えられるという天才的な発想が、桂先生たるところかなと感じています。
-今後の構想はなにかありますか?
桂正和
中途半端になっている「ZETMAN」の続きをやりたいのと、そろそろ漫画が描けなくなりつつある年齢になってくると、もう一度「ウイングマン」や「電影少女」を描いてみたいとも思いますね。
「ZETMAN」で言えば、たとえば、すべてを忘れた広野健太の前に、すべてを覚えているアオイが現れたら、面白いことができそうな気がするんです。
-今後、50周年、60周年まで続けたいというお気持ちはありますか?
桂正和
ありたいですけど、身体がついていくかなという心配はありますね。
-トークショーで「自分は三塁打を打つ漫画家だ」とおっしゃってましたが、今後、ホームランは打てそうですか?
桂正和
ホームランはもう打てないと思いますね。
「ドラゴンボール」や「ワンピース」、今なら「鬼滅の刃」なんかは場外ホームラン作品だと思いますが、こういう作品はもう僕からは出てこないかなと思っているのと、僕が40年間なんとなくやってこれているのはそのおかげかなと思っているんです。
デカイホームランを打っちゃうと、けっこう疲弊しちゃうんで。僕はマイペースでやっていきます。
-展覧会の作品を見ていると、先生の「俺はこれが好きなんだ」という想いが伝わってくる気がします。先生が描いていて気持ち良いと思われるポイントは?特に後半になって、絵がどんどんリアリズムになっていきます。
桂正和
僕はSFが好きなんですが、現実感の中に不思議なもとがあるから面白いと思っています。日常の中に不思議なものがあるから面白いんです。
漫画を読んでる読者が、その日常をなるべく現実感のあるものとして感じてもらうために、僕の絵もリアリズムを追求していくようになりました。
-先生の絵、特に2000年代以降は、世の中のメカや制服のデザインにすごく影響を与えてきたと思いますが、そこはご自分で認識されていますか?
桂正和
そう言っていただけたのは初めてです。自分の中ではそうじゃないのかなと思ってましたが、これまで誰も言ってくれないので(笑)
-例えばキャラクターの目の描き方とか、今、多くの人がマネしてますよね?
桂正和
そうなんですよね。もっと声を大にして言ってください(笑)
たとえば「電影少女」で目の描き方を変えた(線を加えた)時、ちょっとくどいかな?って自分でも思ったんです。でもこの作品以降、世の中はこの描き方だらけになって(笑)
-伊織もえさんの“伊織”は「I”s(アイズ)」の葦月伊織(よしづきいおり)からということですが。でも、“伊織”という名前はそれまで世の中的には男性の名前でしたよね。
桂正和
そこだよ、そこ!“伊織”という響きが綺麗で女の子名前として使ったら、それが世の中に定着していって。
俺、けっこう世の中に貢献してんだよ(笑)
「ウイングマン」に登場する美紅(みく)もそうだからね。それまでは、“くみ”という響きが一般的で、“みく”は世間としては馴染みがなかった。でも今は、“みく”という名前は普通になったからね。
「40th Anniversary 桂正和~キャラクターデザインの世界展~」
「40th Anniversary 桂正和~キャラクターデザインの世界展~」は、桂正和の画業40周年を記念し、彼の“キャラクターデザイン“に焦点を当てた大規模展覧会。漫画家桂正和がこれまで描いてきた漫画をはじめ、漫画以外のイラストも展示され、コラボイラストや衣装デザインなど、漫画の枠には収まらない桂正和の世界を楽しむことができる。
また、大人気アニメ『TIGER & BUNNY2』のキャラクターデザイン原案も展示されるほか、本展の為だけに描き下ろされたイラストとして、連載デビュー作品『ウイングマン』のウイングマンとアオイの1枚も展示される。
会期:4月27日(水)~5月8日(日)
開催時間:全日10:00~18:30
開催場所:池袋・サンシャインシティ 文化会館ビル3階 展示ホールC
主催:「桂正和の世界展」実行委員会
協力:集英社
公式サイト:katsura-masakazu-sekaiten.jp
公式Twitter:@katsura_ten
料金:¥1,500(税込)
期間中お好きな時にご入場いただける入場券となっております。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02vhies04s821.html
桂正和(漫画家)プロフィール
1962年生まれ。福井県出身。漫画家。1980年、『ツバサ』で第19回手塚賞佳作受賞。
1981年、『週刊少年ジャンプ』にて『転校生はヘンソウセイ!?』でデビュー。『電影少女』や、『I”s』、『ZETMAN』など数多くのヒット作を生み出す。
アニメ『TIGER & BUNNY』のキャラクター原案&ヒーローデザインをつとめるなど、漫画以外のジャンルでも活躍している。
■フォトギャラリー
[写真・記事:桜小路順]
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