【舞台レポート＆インタビュー】伝説のアパート「トキワ荘」をモチーフの現代コメディ劇「トキワ荘のアオハル」開幕

2021年11月3日、東京芸術劇場プレイハウスにて、数知れぬ著名な漫画家を輩出した伝説のアパート「トキワ荘」（東京都豊島区南長崎三丁目に存在した）をモチーフにした現代コメディ劇「トキワ荘のアオハル」が開幕した。

本公演は、としま文化の日関連事業として、トキワ荘マンガミュージアムの協力のもと、ザ・プラン９の久馬歩・トキワ荘愛溢れる構成作家寺本覚による脚本・演出で、2021年のトキワ荘（劇中：トキワ寮）に住む夢を追う若者たちを描く。
かつて舞台『火花 -Ghost of Novelist-』では主人公徳永、神谷を演じた植田圭輔・石田明が今度はコンビ漫画家としてタッグを組む2人を軸に、2021年のトキワ荘（トキワ寮）には声優・写真家・ミュージシャンなど様々な夢を追う若者が暮らしており、それぞれのやり方で存続の危機を迎えるトキワ荘を救うべく奮闘するコメディ作品。

共演は、松島勇之介、竹若元博(バッファロー吾郎)、河本準一(次長課長)、矢部太郎(カラテカ)、しずちゃん(南海キャンディーズ)、坂本純一(GAG)、福井俊太郎(GAG)、宮戸洋行(GAG)、松浦志穂(スパイク)、小川暖奈(スパイク)、太田夢莉（元NMB48）、西村竜哉、福田転球。
日替わりゲストは、11月3日が天竺鼠、4日は野性爆弾。
豊島区池袋の東京芸術劇場プレイハウスにて、11月3日(水・祝)～4日(木)の2日間、上演される。

初日公演レポート

物語の舞台は、豊島芸術大学の学生寮「トキワ“寮”」。
漫画家、声優、ミュージシャンなどを夢見る若者たちが今日もにぎやかに暮らしている。
かつて同区に存在した伝説の「トキワ荘」のように夢をもった若者が才能をぶつけあう場になってほしいという願いから命名された。
その中には”アオヅカハルオ”のペンネームで多くの漫画賞を獲得し、”新人賞あらし”と呼ばれる、青塚（石田明）とハルオ（植田圭輔）の二人組が暮らしている。
現役大学生漫画家として名を広め、デビューも決まっていた２人だが、卒業を前に１年間は好きなことをやろうと青塚がコンビ活動休止を提案。ただ、それは青塚が抱える大きな悩みが原因だった。
そんな時、大学のキャンパス移転にともないトキワ寮の閉鎖話が浮かび上がる。

トキワ荘をモチーフにした物語で、そのトキワ荘が実在した豊島区が後援、また、トキワ荘が存在した近くで現在運営されているトキワ荘マンガミュージアムも協力も得られたということで、本番開始前から、劇場内は、手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄らのアニメ作品の主題歌が流れ、それを聞いているだけでも気分が高揚してくる。

本番でも、物語の進行に合わせて、「ふしぎなメルモ」（手塚治虫）、「ブラックジャック」（手塚治虫）、「火の鳥」（手塚治虫）、「パーマン」（藤子・F・不二雄）、「プロゴルファー猿」（藤子不二雄Ⓐ）、「おそ松くん」（赤塚不二夫）、「サイボーグ009」（石ノ森章太郎）などのコミックからのコマカットが投影されたり、主題歌が流れることも。
また、これら作品からのセリフをキャストが発するシーンもあった。
また、ところどころにある、西村竜哉によるギター弾き語りも聴きどころだ。

そういった演出が加わりつつ、吉本興業制作舞台らしく、ステージ構成のベースは吉本新喜劇となっており、真面目で感動的な本筋と共に、時折りミニコントをはさみつつ、物語が進行していく。

初日の日替わりゲストは、天竺鼠で、トキワ寮を地上げしようとする不動産屋役。トキワ寮の管理人役のしずちゃん(南海キャンディーズ)と一悶着やるシーンなどで登場する。ところどころセリフを飛ばす天竺鼠と、アドリブで対応するしずちゃんとのやりとりが劇場の笑いを誘っていた。
なお、しずちゃんの役名は“松葉さん”で、“松葉”と言えば、かつてのトキワ荘住人だった若かりし藤子不二雄らが足繁く通った中華料理屋の店名も“松葉”で、豊島区南長崎に今でも営業を続けている。

物語後半は、地上げ対象になっているトキワ寮を救うべく、仲違いしていた青塚とハルオ、そしてトキワ寮の住人たちが一致団結して資金集めのためクラウドファンディングを始めたり、コミック大賞に応募して1000万円の賞金を目ざすことに。

果たして、トキワ寮の運命は？そして青塚とハルオの関係は修復するのか？

■初日上演後囲みインタビュー

－初日を終えての感想は？

石田明(NON STYLE)
ハプニングもたくさんありましたけど、やっぱり生の舞台はいいですね！
そして、歴史あるトキワ荘を題材に笑いを交えてお芝居で表現できるっていうのは、このコロナ禍においてすごい幸せなことやなと思います。

植田圭輔
お客さんにとってもそうだったかなと思うんですけど、我々にとっても宝物みたいな時間でした。
お芝居、歌、お笑いといろんな要素があるので、とても楽しむことができました。

河本準一(次長課長)
貴重なオリジナルの役をやらせていただきまして、しかもこのオリジナルのカツラ（テグス操作でハゲになる）は私が以前自分で手掛けたやつで使えてなかったものをなんとか採用してもらいました。
でも、今日、１回目で仕掛けが動かず、テグスを引っ張る手が取れそうになりました（笑）

石田明(NON STYLE)
舞台袖で爆笑してました（笑）

しずちゃん(南海キャンディーズ)
素敵なメンバーと一緒にやらせていただいて、やっぱり皆さん、プロやなって思いました。

久馬歩（脚本・演出）
私は、一緒に脚本を書いた寺本覚がもともとトキワ荘のことがめっちゃ好きで、彼からの声掛けで参加することになりました。
本番10分前まで、裏ではバタバタしてたんですが、漫画家さんが締め切りで追われるリアルさを体感したように、本番では皆さん、見事なお芝居でした。プロな芸人さんは素晴らしいなと思いました。
トキワ荘好きは方も楽しめる物語になってますし、（トキワ荘で過ごされた漫画家さんたちの作品の）たくさんの絵や歌を使わせていただく許可を得たので、自分の見ていた漫画やアニメを使えたので、ほんとに良かったですね。

－今日は１００％満席となってましたが、ステージから客席を見ていかがでしたか？

石田明(NON STYLE)
やっぱり嬉しいものですね。ハケてきた時も皆で「めちゃくちゃお客さんが入ってる！」言い合いましたもんね。
これまで、お客さん半分というのに慣れてしまったので、これだけしっかり入っていると嬉しいですね。

－トキワ荘に集って夢見る若者たちをモチーフにしたお芝居ですが、もし皆さんがお笑い芸人をやってなかったとしたら、どんなお仕事をされてたと思いますか？

植田圭輔
僕は俳優じゃなかったですね。もともとゴミ収集のお兄さんになりたかったし、「公務員かっこいい！」って思ってました。で、公務員の勉強もしてたんですけど、なんか知らんけどジュノンボーイになっていて。。

石田明(NON STYLE)
（ジュノンボーイは）なんか知らんけどでなれるもんちゃう！

石田明(NON STYLE)
僕は芸人になる前は板前をやっていたので、料理人になっていたと思います。２人の兄も親父も料理人なので。
なので、いつでも店を開けます！

河本準一(次長課長)
僕は芸人以外は考えたことないですね。工業高校出身で、就職先も無いって言われてましたし。
僕は生まれ変わっても芸人やと思います。

しずちゃん(南海キャンディーズ)
私はこういう見た目なので、やっぱりアイドルです。（モー娘。の）オーディションも受けてますし、ゴマキとやりやったから。

全員
（笑）

－オーディションやボクシングもされてますけど、他にチャレンジされたいことはありますか？

しずちゃん(南海キャンディーズ)
陶芸をやってみたいですね。

－石川さんと植田さんは、舞台「火花 -Ghost of Novelist-」以来の共演でしたが、今回はいかがでしたか？

石田明(NON STYLE)
「火花」の時は、物語にしっかり寄ってましたけど、今回はたとえば、僕らがケンカするシーンの後に、大喜利コーナーが始まったり（笑）、繋ぐのが大変ですね。
でも、あの頃から植田くんもいろんな舞台を経験されて信頼できる役者さんになったなぁと思いました。

植田圭輔
石田さんの目を見ていたら戻れるというか、舞台袖であんなに笑ってたのにこんなに芝居ができるもんなんやなって。
あと、石田さんって身体は細いですが、めちゃくちゃパワーがあるんですよ。取っ組み合いのシーンもあるので、そのパワーに負けないように演じようと思いました。

－明日の公演もありますが、見どころは？

石田明(NON STYLE)
明日のゲストは野性爆弾なので、ほんとに暗転があるんじゃないですか（笑）
※11月3日のゲストは天竺鼠だったが、彼らもセリフを飛ばすところがあり、共演シーンが多いしずちゃんが困っていた。

久馬歩（脚本・演出）
一度ロッシーに稽古場に来てもらったんですけど、とんでもないことになりましたね（笑）

河本準一(次長課長)
肝となるセリフがあるのに大丈夫ですかね？

久馬歩（脚本・演出）
ゲストは絵の上手い人という基準で選んだんですが、脚本を書いているうちにだんだん重要な役になってしまったんですよね（笑）

石田明(NON STYLE)
川島さん（くっきー！の本名）にするんだったら、麒麟の川島にしたらよかったのに。

しずちゃん(南海キャンディーズ)
私はうまくツッコむというタイプじゃないので、野性爆弾２人相手のシーンはアワアワしそう（笑）

■フォトギャラリー

『トキワ荘のアオハル』公演情報

STORY
豊島芸術大学の学生寮『トキワ寮』。
漫画家、声優、ミュージシャンなどを夢見る若者たちが今日もにぎやかに暮らしている。
かつて同区に存在した伝説の「トキワ荘」のように夢をもった若者が才能をぶつけあう場になってほしいという願いから命名されたが、中には「トキワ荘」と間違えて入ってくる学生もいるとか。
その中には”アオヅカハルオ”のペンネームで多くの漫画賞を獲得し、”新人賞あらし”と呼ばれる二人組がいた。
現役大学生漫画家として名を広め、デビューも決まっていたが卒業を前に、１年間は好きなことをやろう　と青塚がコンビ活動休止を提案。
二人で住んでいた１つの部屋には仕切りができる。
そんな時、大学のキャンパス移転にともないトキワ寮の閉鎖話が浮かび上がる・・

公演期間：2021年11月3日（水祝）～11月4日（木）※3日は夜公演のみ
公演時間：昼公演 開場13:30 開演14:00／ 夜公演 開場17:30 開演18:00
会場：東京芸術劇場 プレイハウス
脚本・演出：久馬歩／寺本覚
出演：植田圭輔、石田明(NON STYLE)、松島勇之介、竹若元博(バッファロー吾郎)、河本準一(次長課長)、
矢部太郎(カラテカ)、しずちゃん(南海キャンディーズ)、坂本純一(GAG)、福井俊太郎(GAG)、宮戸洋行(GAG)、
松浦志穂(スパイク)、小川暖奈(スパイク)、太田夢莉、西村竜哉、福田転球
※11月3日ゲスト出演：天竺鼠、11月4日ゲスト出演：野性爆弾
公演情報：http://www.syumatsu.jp/2021/11/post-42.php
主催・企画・制作：吉本興業株式会社
後援：豊島区
協力：トキワ荘マンガミュージアム
チケット前売：大人5,000円（税込・全席指定席）
障害者割引4,000円（税込・全席指定席 ご入場の際障害者手帳をご提示いただきます）
子供料金2,500円（保護者同伴の小学生以下対象・未就学児童は保護者の膝上観劇の場合無料）