• HOME
  • News
  • 映画
  • 日本の原作コンテンツ(IP)パワーがハリウッド映画で花咲くには?
藤村哲也 - デジタルハリウッド大学

日本の原作コンテンツ(IP)パワーがハリウッド映画で花咲くには?

藤村哲也 - デジタルハリウッド大学

2017年4月にハリウッド製作作品として公開された映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた藤村哲也氏が、特任教授として、7月5日、東京・デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパスにて特別講義を行い、日本の原作コンテンツ(IP)をハリウッドで映画化することの難しさと、その将来性への期待を語った。

特別講義『ゴースト・イン・ザ・シェルに見る日本のIP(知的財産)を基にしたハリウッドでの映画製作の意義と将来性』
日時:2017年7月5日
場所:デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス

藤村哲也氏といえば、ギャガ・コミュニケーションズの創業者で、レンタルビデオ全盛期に、ハリウッド作品の版権を買い付け、日本でビデオ化する事業で成功を収めたことで知られている。
現在は、株式会社フィロソフィア代表取締役社長を務め、日本のIP(=知的財産。この記事では以降“原作コンテンツ”という意味でIPと表現)をハリウッド側に入り込んで、“日本のIPの将来性を開く権利契約にする”事業に取り組んでいる。

日本IP ハリウッド映画化のメリットとデメリット

同氏によると、日本のIPのハリウッドでの映画化はメリットばかりではなく、デメリットのリスクもあり、
「良い映画作品」を作るには、とにかく権利の契約すればいいというわけではなく、契約の最初の段階から、そして契約後のフォローも非常に大切になってくるという。
特に、原作がファンに愛されているようなファンベースの作品は、失敗すると大変なしっぺ返しが待っている。
ここでは実作品名は書かないが、過去にも日本のコミック原作のハリウッド映画化でとんでもない失敗作になった例もある。
一度そうなると、世界中にその原作までも否定的なイメージが浸透してしまうので、それを払拭するには10年以上もかかるという。
そうならないように、ハリウッドとの契約交渉に慣れない日本の出版社のために、ハリウッドとの間に入って適切な契約になるよう尽力しているのが、藤村氏率いるフィロソフィアという会社というわけだ。
なお、フィロソフィアは日本の出版社側の代理人ではなく、ハリウッド側メジャースタジオの代理人という立場だ。
あくまでハリウッド側に立つことで、日本のIPを適切に守りつつ契約交渉ができるようになるという。

そして藤村氏が強調したのは、
「契約交渉の入口では、金額よりも『誰が・どのように映画を作るか』というアイディアが最も重視される」
ということだ。
ハリウッドメジャースタジオに「契約したい」と思わせるには、彼らが期待することを熟知した上で契約の提案・交渉をする必要があるのだ。

映画化までに10年かかった

ハリウッドとの権利交渉の流れについて、『ゴースト・イン・ザ・シェル』を実例に藤村氏は解説した。
なんと、最初の交渉開始から、映画完成までに10年かかったという。
それは、IP権利元の講談社がハリウッドとの交渉が初めてだったというのもあるが、そもそも、ハリウッドでは脚本企画で5年くらいかかえるのが普通だという。
なので、権利交渉3年+脚本企画+5年+映画製作2年=10年というわけだ。

日本のIPをハリウッドに売り込むことの将来性

ハリウッドのメジャースタジオが強い関心を示すIPの条件とは、
・知名度と世界観
・ストーリーのオリジナリティがあること
の2つ。

これらをクリアすると次には、
・アダプテーション
    原作から実写化されていない作品
    原作からアニメ化されていない作品
・リメイク
    原作から実写化されている作品を再実写化
    原作からアニメ化されている作品を再アニメ化
の2つのポイントが検討材料になる。

そして、先に書いたように、最後には
「金額よりも『誰が・どのように映画を作るか』というアイディア」
をいかに提案できるかにかかっている。

日本は世界有数のIP天国であり、特にマンガ・アニメについては、質・量ともに世界最大の作品群を誇る。
すなわち、魅力あるIPが多数存在するのが日本なのである。

このIPの強みでハリウッドと交渉すれば、契約条件として、日本人俳優や、プロデューサーなどの映画製作者がハリウッド進出する機会を創出することになると、藤村氏は期待する。

日本IP原作のハリウッド映画・TV安定供給の流れ(主要作品)※公表済み分
映画 – 製作中
DEATH NOTE(NETFLIX)2017/8/25配信予定
ALITA: BATTLE ANGEL(銃夢) (FOX) 2018/7/20公開予定
GODZILLA: KING OF THE MONSTERS (WB) 2019/3/22公開予定
GODZILLA vs KONG (WB) 2020/5/22公開予定

映画 – 企画開発中
NARUTO -ナルト- (LIONSGATE)
メタルギアソリッド (SONY)
バイオハザード(リブート) (SONY)
AKIRA (WB)
鉄腕アトム (WB/NEW LINE)
名探偵ピカチュウ~新コンビ誕生~ (UNIVERSAL)
宇宙戦艦ヤマト (PARAMOUNT)
ゴルゴ13 (未定)
モンスターハンター (未定)
TIGER & BUNNY (未定)

TV – 企画開発中
カウボーイビバップ (TOMORROW)
ソードアート・オンライン (SKYDANCE)

[cc id=481 title=”Lancers”]

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA