
松重豊「人間性で北村有起哉さんとのんさんをキャスティングした」ドラマ「おいしいのつくりかた」配信記念会見
2026年10月3日、テレビ東京本社 六本木第1スタジオにて、ドラマ「おいしいのつくりかた」配信記念会見が行われ、北村有起哉、のん、松重豊が登壇。(動画&フォト)
本作は、『孤独のグルメ』などで知られる俳優の松重豊氏が企画プロデュース・脚本・監督を務める初の完全オリジナルドラマ。
会見には、主演で心を閉ざしたシェフ・水橋英二役を演じる北村有起哉、亡き祖父の洋食店を守ろうとする孫娘・大沢加奈役ののん、そして監督・脚本・企画プロデュースおよび施設長役を務めた松重豊の3名が登壇し、作品にかける熱い思いや撮影の裏話を語り尽くした。
会見レポート
■動画レポート
■フォトレポート
北村有起哉(無愛想な料理人・水橋英二 役)
水橋役をやらせていただきました北村有起哉です。本日はお集まりいただきありがとうございます。ようやく雨も上がって晴々しい日に、こうして配信が始まりました。今日は少しでもこの作品の魅力をお伝えできたらと思っております。よろしくお願いいたします。
のん(レシピ動画配信会社ディレクター・大沢加奈 役)
加奈を演じさせていただきましたのんです。皆さんにこの作品の美味しさを伝えられるように頑張ります。短い時間ですが、よろしくお願いいたします。
松重豊(企画プロデュース・脚本・監督・施設長 役)
肩書きはいろいろ並んでおりますけれど、要するに言い出しっぺということでございます(笑)
ただ、この作品に関しては作っていく段階からずっと面白い作品になっていく手応えがありました。何より素敵な役者さんに揃っていただけたので、本当に素晴らしい作品に仕上がりました。ぜひ皆さんにご覧いただきたいです。よろしくお願いいたします。
制作の裏側・作品への思い
‐ 出演が決まった時、そして台本を読まれた時の素直な気持ちをお聞かせください。
北村有起哉
なんと言っても松重豊監督からのご依頼ということで、これまで役者先輩として何度かご一緒させていただいておりましたので、ある意味『断りづらい』というか(笑)
もちろんネガティブな要素は全くなく驚きましたし、即決で『ぜひ!』という気持ちでした。台本を読む前から『やります、やります!』とお返事したくらいです。断ったら廊下ですれ違ったときに気まずいですから(笑)。非常に嬉しかったですね。
のん
私も『まさかの松重組だ!』と思ってすごく感動しました。松重監督が描く世界に興味がありましたし、いただいた脚本もとても素敵で、『美味しいものは人を幸せにするな』と改めて感じさせられ、ぜひ参加したいと思いました。
‐ 今回の企画の立ち上げ意図や、なぜこのドラマを作ろうと思ったのか教えてください。
松重豊
テレビ東京で15年近く作品を作らせていただく中で、ずっと飲食店を回ってきました。
ただ、長年やっていると店主の方が体調を崩されたりしてお店がなくなってしまう場面を幾度となく目の当たりにし、スタッフ一同心を痛めていました。コロナ禍もあり、本当に飲食店に支えられてきた15年でしたので、飲食店に対するリスペクトとオマージュを捧げるような作品を作りたいと思ったのが一番の動機です。
また『孤独のグルメ』で裏側からドラマを見る面白さを体験した際、他の素晴らしい役者さん方をレンズの裏側から見てみたいという思いが強くなり、そこに特化した作品を作り上げようと考えました。
‐ 物語の鍵として「ポークソテー」が登場しますが、なぜポークソテーだったのでしょうか?
松重豊
この数年で世の中の物価が想像を超えるほど高くなりました。ランチで1500円、ディナーで4000〜5000円かかる時代において、『少し贅沢したいけれどお財布があまり痛まない料理』と考えた時、ランチで1500円、ディナーでも2000円程度で食べられるポークソテーが浮かびました。
また、私自身が豚の脂身が大好きでして(笑)。取材をする中で、豚の餌や育て方によって味が全く変わる奥深さを知り、主役に据えました。
‐ 北村さんは実際にポークソテーを作る役柄ですが、調理シーンの苦労などはありましたか?
北村有起哉
事前に包丁での切り方など、調理工程の指導と練習を受けました。プロのシェフ役ですので一気にすっと肉を切らなければならないのですが、肉のハナマサでお肉を買って自分で練習した時は全然うまくいきませんでした(笑)
また、料理人は料理中に喋りませんので、セリフが少ない中でいかに厨房に溶け込んだ本物の料理人に見えるかという表現が非常に楽しかったです。
松重豊
セリフが少ない分、『プロフェッショナルな仕事を見せてください』という無言のプレッシャーを与えていました(笑)
事前に包丁で手を切っちゃったりして『無理なことはしないで』と言ったりもしましたね。
‐ 実力派が揃ったキャスティングについての思いをお聞かせください。
松重豊
キャスティングは100%『人間性』だと思っています。演技の巧さや性格以上に、その人自身が魅力的かどうかが一番重要です。画面を通してその人の豊かな人間性が滲み出てくるものなので、同業者としての目線で『この人ならきっと素晴らしい人間性が滲み出る』という方を選びました。
のんさんもCMで一度ご一緒した際の素敵な人間性の裏側や表側をもっとレンズ越しに見たいと思い、選ばせていただきました。
のん
すごく嬉しいです!今、感動に打ち震えています!撮影中はそういったお話をしてくださらなかったので、今日初めて伺えて驚きました。
北村有起哉
現場では松重さんが監督としてお忙しく、雑談があまりできなかったのが心残りでした(笑)
ただ、昔から車の相談など、個人的なしょうもない相談を先輩として電話させていただく間柄で、松重先輩のアドバイスが一番信頼できると思っています。
‐ のんさんから見て、監督としての松重さんの印象はいかがでしたか?
のん
作品への愛情と集中力がものすごくて、演出を受ける時も役柄一人ひとりに対する面白がり方が楽しく、ワクワクしながら撮影に臨めました。脚本に書かれていないキャラクターの背景を聞いても全てに明確な答えが返ってくるので、すごく勉強になりました。
松重豊
のんさんから『こういう流れで演じた方が面白い』と提案してもらった部分は、台本にもどんどん反映しました。役者がその生き生きとした目線で物語を紡ぎ上げることが一番大事だと考えています。
‐ 北村さんは、心を閉ざした料理人・水橋を演じる上で意識した点はありますか?
北村有起哉
あくまでこのドラマの主役はポークソテーであり、ポークソテーが人をつないでいく物語なので、自分があまり影を濃くしすぎないように注意しました。セリフが少なかったのは助かりましたね(笑)
おしゃべりなシェフより寡黙なシェフの方が美味しそうに見えると思いますし、黙っている中で何かを訴えかける演技を観客の皆さんに読み取ってもらうことが物語の面白さだと思います。
‐ のんさん演じる加奈は物語のエンジンのような存在ですが、役柄への共感や大切にしたことは?
のん
加奈はおじいちゃん子・おばあちゃん子で、美味しいものを作る人へのリスペクトが深い女の子です。
私自身も美味しい料理を食べた時、作った方へ手放しで感謝と幸せを感じるので、とても共感できました。
役作りでは、加奈のおばあちゃん譲りの行動力や明るいエネルギーを大切に表現しようと意識しました。
松重豊
編集作業で自分の顔と向き合う時間は楽しくないのですが(笑)、のんさんの笑顔を見るだけでどれだけモチベーションが上がったか分かりません。本当に救われました。
‐ 松重監督ご自身も老人ホーム施設長役で出演されていますが、監督と役者の切り替えはいかがでしたか?
松重豊
ギャラ(予算)を圧縮するために一番安い自分を出演させたんです(笑)
北村有起哉
俳優というのは、台本上のお芝居が終わっても監督が「カット!」って言わない限り、アドリブででもお芝居を続ける必要があるんです。でも、松重豊さんとのシーンでは、(松重さんが)僕の目の前で真顔に戻って『はいカット、確認します』と言われるので、役者としてお付き合いいただいていた雰囲気から急に置いてきぼりを食らった感覚になりました(笑)
‐ 『孤独のグルメ』チームならではの撮影のこだわりや工夫はありますか?
松重豊
とにかく『美味しいものを本当に美味しく撮る』ことに尽きます。映像のクオリティを高めるため、ポークソテーを美しく収めるカメラテストやレンズテストを何度も重ねました。
このドラマは海外でも配信されるので、『このポークソテーを食べるために日本に行きたい』と思ってもらえるクオリティを目指しました。
また、フードコーディネーターの飯島奈美さんに本当に美味しい料理を作っていただき、加賀まりこさんをはじめキャスト陣がリアルに美味しいものを食べている表情を捉えることを徹底しました。
‐ 北村さんは料理人役にあたり、どのような準備をされましたか?
北村有起哉
実は『孤独のグルメ』のシーズン1を観た時から、『役者としての自我を消し、長年厨房で働いているかのように溶け込んでいる佇まい』に感銘を受けていました。僕も『孤独のグルメ』に、料理人として出たいなぁって思っていたら、なぜか医者役で(笑)
でも、今回のドラマで、念願の料理人役でしたので、キッチンの掃除やルーティン、テンポ、道具を愛する呼吸など、超一流シェフの佇まいを想像しながら作り上げていく作業は非常にやりがいがありました。
‐ 某デリバリーサービスのCMでの共演経験もあるのんさんから見て、松重豊さんはどんな方ですか?
のん
背が高くてスラッとされていて、本当におしゃれな『イケおじ』という印象です!
CMでご一緒した時もとても楽しくて、『もう少し長くご一緒したい』と思っていたので、今回のお話をいただけて本当に嬉しかったです。
松重豊
CMの短時間の撮影中でも色々な関係性を想像でき、のんさんに『また何か一緒にやりたいね』と話した時に、『やりたいです!』とまっすぐな目で言ってくれたことが忘れられませんでした。今回こうして作品で再会できたことは、私にとっても非常に幸せなことでした。この(芸能の)世界は、人間性の繋がりで成り立っていますから。
のん
嬉しい!やっぱり言っておくことは大事ですね!(笑)ありがとうございます!
‐ 皆さんはプライベートでお料理をされますか?
北村有起哉
あまりしない方なので、役が決まった時は焦って玉ねぎをたくさん買い込みました(笑)
家で一人で盛り上がって練習して指を切ったりしながら、ポークソテーなどを色々と作っていましたね。子どもたちからは『急にどうしたんだろう?』という目で見られていました(笑)
のん
簡単なものは作ります。最近は、お豆腐を煮て片栗粉でとろみをつけ、薬味を乗せて食べる料理と『おかかチーズおにぎり』にはまっていて、ここ数週間はそのセットを自分で作って毎日食べています!
松重豊
昔は好きだったのですが、老眼が進んで細かいみじん切りが難しくなってきまして(笑)
外食も変装していっても帽子やマスクを外すとお店で騒ぎになってしまう不自由さはありますが、やっぱり人が作ってくれた料理を食べるのが大好きですね。
‐ 松重監督が思う「美味しさ」に必要な要素とは何でしょうか?
松重豊
15年『孤独のグルメ』をやってきて思うのは、お店が持つ『物語』です。
店主や女将さん、常連さん、歴史といった物語を想像しながら食べることで、食べる前から自分の中で一番の味付けが完了しているのだと思います。
今作も、先代の味と今の味をつなぐ人々の物語を描いており、そのドラマ性が美味しさと感動を生むと考えています。
北村有起哉
監督のお話を聞いて思い出しました。父が亡くなって1年ほど経った頃、父の行きつけだったお寿司屋さんに一人で入ったんです。大将に『親父が食べていた順番で握れますか?』と聞いたら、一品ずつ順番に出してくれて、最後に父が好きだったワサビたっぷりのかんぴょう巻きを出してくれました。
バタバタしていた葬儀の時には出なかった感情がそこで溢れ出てきて……。『食と店の記憶』の凄さを実感しました。
松重豊
これは実は『おいしいのつくりかた』第2話寿司屋編です!(嘘)
北村有起哉
僕は寿司屋の大将役で出ます!(嘘)
クロージングメッセージ
北村有起哉
『おいしいのつくりかた』というタイトルですが、私は『優しいドラマのつくりかた』だと感じました。松重監督の優しさに包まれた現場でした。食や味覚の記憶を通じて人はこんなにもつながり優しくなれるのだと実感できる作品です。ぜひ多くの方にご覧いただきたいです。
のん
美味しいものには人を幸せにし、生きる活力を作る力があります。その『美味しい』を存分に感じられ、観た方の生活を彩る作品になっていると思います。ぜひお楽しみください。
松重豊
俳優としてドラマ作りを見てきた経験と、『孤独のグルメ』での15年で学んだ『美味しいお店の魅せ方』の全てを詰め込みました。今までにない新しい視聴体験になると思います。アジアから世界へ発信する日本文化の出発点になれば幸いです。ぜひご覧ください。
ドラマ『おいしいのつくりかた』は、2026年10月3日(土)午前0時よりPrime Videoにて独占配信中。
■フォトギャラリー
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[動画・写真・記事:三平准太郎]
ドラマ「おいしいのつくりかた」
《INTRODUCTION》
長年「孤独のグルメ」で“食べる男”として数々のグルメと向き合ってきた松重豊が、本作では“つくる”側の視点に立ち、料理がつなぐ人と人との温かな絆を描く。「孤独のグルメ」のスタッフが手掛けるシズル感あふれる映像美も見どころの一つで、物語の鍵を握る「ポークソテー」が調理される音や香りまで伝わってくるような描写に、たまらず胃袋をつかまれること間違いなし。松重は「あの番組以上にお腹が空くことを保証します」と本作への強い手応えを覗かせた。設計図(脚本)には、最近胸を痛めることが多い地方の老舗飲食店の廃業、そして復活という骨格を据え、それに携わる人々の群像劇として構成。栄えある一本目の主役は「ポークソテー」――。主演・北村有起哉、共演のん、加賀まりこの実力派俳優陣が、松重の手掛ける「料理×ヒューマンドラマ」でどのような化学反応を見せるのか。観終わったあと、きっと大切な人と温かいご飯を食べたくなる珠玉のグルメヒューマンドラマとなっている。
《STORY》
あるトラブルによって名門レストランを解雇され、人と距離をとり心を閉ざしてしまった腕利きシェフ・水橋英二(北村有起哉)。彼が料理人として流れ着いたのは、とある老人ホームだった。
一方、レシピ動画配信会社で働くディレクターの大沢加奈(のん)は、祖父・真路の死と、長年愛された洋食店「キッチン大沢」の閉店を突然知らされ、深い悲しみに暮れていた。一人残された加奈の祖母・智子(加賀まりこ)も、慣れ親しんだ家から老人ホームに入所したものの生きる気力を失い、食事すら楽しめない失意の日々を過ごしていた。そんな智子は水橋の料理に出会い、彼の料理の美味しさに感動し、次第に笑顔を取り戻していく。さらに、水橋の作るポークソテーの味が「キッチン大沢」の看板メニューとまったく同じ味であることに驚く。すぐさま加奈に連絡して味を確かめてもらうと、加奈も祖父の味と同じだと感動する。不思議に思った加奈が調べたところ、水橋が祖父と同じ名門レストラン出身であることが判明する。祖父の味と店を守りたい加奈と智子は、トラブル以降心を閉ざしたままの水橋に、ある提案を持ちかける。
主演:北村有起哉
出演;のん、永尾柚乃、山中聡、坂井真紀、松重豊、中原丈雄 / 加賀まりこ
企画プロデュース・監督:松重豊
脚本:田口佳宏/松重豊
音楽:grooveman Spot & Osamu Fukuzawa
プロデューサー:小松幸敏(テレビ東京)、小嶋志和(テレビ東京)、笠島徳竜(共同テレビジョン)
制作協力:共同テレビジョン
製作著作:テレビ東京
©テレビ東京
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/oishii/
公式X:https://x.com/oishiiporksaute
60秒予告
2026年10月3日(土)午前0時より動画配信サービス「Prime Video」にて独占配信
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