ユミコテラダンス

【コラム】ダンサー・役者のユミコテラダンスさんの訃報を受けて。

ダンサー・役者のユミコテラダンスさんが5月25日に亡くなられたという知らせが届きました。彼女は、映画作品では、主にミニシアターなどで上映されるインディーズ映画作品に出演されていて、新作の公開も控えていました。
彼女の訃報については、彼女と一緒に活動されているギタリスト・肥沼 武氏のツイートや、映画関係者からの情報で知りました。
ユミコテラダンスさんご本人の最後のツイートが24日になっていることから、まさに急なことだったのが伺えます。

彼女が役者として、活躍のひとつの場としていたのが、自主制作映画作品。その多くがミニシアターと呼ばれる単館映画館で上映されます。

ミニシアターといえば、コロナ禍による緊急事態宣言により、さまざまな業態のお店が営業自粛を余儀なくされた中、「STAY HOME MINI-THEATER powered by mu-mo Live Theater」や、クラウドファンディングで国内最速1億円達成でも話題となった「ミニシアター・エイド基金」などを通して、改めて、その存在を認識された方も多かったのではないでしょうか。
当サイトでは、テレビCMや情報番組のランキングで紹介されるメジャー配給の映画作品だけでなく、お話をいただければ可能な限り、インディーズ映画の取材をさせていただいています。それは、映画文化の多様性と裾野をより広げたいという思いもあるからです。

ユミコテラダンスさんに直接お目にかかったのは、2020年1月12日、池袋シネマ・ロサで行われた『赤色彗星倶楽部』(監督:武井佑吏/2017)という作品の舞台挨拶で取材させていただいた時。これは、【「手島実優」特集上映 the face vol.3】の一環として。
本作は、赤色彗星の到来と奇妙な学説を耳にした高校の天文部が“彗星核”を作ろうと画策した内容で、ユミコテラダンスさんは天文部の紅一点であるカヨ役を演じており、ハナ役の手島実優さんとともにダブルヒロインを務めています。
同じ天文部のジュン(羽馬千弘)に密かに思いを寄せるものの、ジュンの幼馴染のハナ(手島実優)との時間的な差には敵わないとも感じ、さまざまな葛藤が心中によぎる様を、ユミコテラダンスさんは、多彩な表情の変化で演じきっているのが印象的でした。
作品での存在感は圧倒的で、後半、物語が大きく転換する時に、ひとりラーメン屋でラーメンを食べきった後のカメラ目線の眼力にも圧倒されました。

また、同作にも出演されていて、ユミコテラダンスさんとも共演が多い櫻井保幸さんが以前ネットラジオで次のように語っていました。
“『赤色彗星倶楽部』を撮影した時の演技は、その時にしかできないもので、今、あの演技をしようと思ってもできない。”
この言葉通り、ユミコテラダンスさん含め、まさにその時にしか撮れない時間や感情が映っていると私も思います。

ユミコテラダンス

ユミコテラダンスさんと櫻井保幸さん。お二人が共演された映画『それはまるで人間のように』のビラ配りをされていました。

■『赤色彗星倶楽部』舞台挨拶でのユミコテラダンスさん(2020年1月12日、池袋シネマ・ロサにて)

2020年1月12日の舞台挨拶に登壇したユミコテラダンスさんは、「昨日も手島実優特集を観客として観ていた一人でした。カヨを演じましたユミコテラダンスです。ありがとうございます。実優さんが出演する作品をみて、映画を信じて観ていたひとりでした。」とあいさつ。
また、同じ壇上の手島実優さんに対して、「本音を言ってしまうと、まるで家族のようで、結婚式にお嫁さんが登場してきてくれたような思いで、嬉しいです。」とも語っていました。

ユミコテラダンス『赤色彗星倶楽部』

ユミコテラダンスさん/手島実優さん

そして、自己紹介を促されたユミコテラダンスさんは次のようにも語っていました。

ユミコテラダンスです。
名前の通りなんですけれども、ダンスを通して活動しています。
YouTubeなどで踊っている姿などを公開しています。
良かったら観てもらえると嬉しいです。
そしてまたみんなで役者として上映できるように頑張ります。
ありがとうございます。

ユミコテラダンス

後列右から4番目がユミコテラダンスさん。彼女はSNS上でもファンにリプライをされていたりと対応が丁寧。お会いした時、物静かな方だと感じましたが、クシャっとした笑顔が印象的でした(シネマ・ロサにて)。


ユミコテラダンスさんが出演されていて、今後公開予定の映画作品は、『青い』(監督:鈴江誉志)の他、『追い風』(監督:安楽涼)の完全版(*)などがあります。
公開日・上映日が決まりましたら、是非みなさんも映画館に足を運んでいただき、ユミコテラダンスさんをスクリーンでご覧いただければと思います。

最後に、ユミコテラダンスさんのご冥福をお祈りしますと共に、自主制作含むインディーズ映画の今後の発展をいちファンとして、メディアとして注目していきたいと思います。

[写真・取材:Ichigen Kaneda/構成:Jun Sakurakoji]

*2020/6/3追記
『追い風』完全版は、2020/8/7より公開が決まりました。(https://nbpress.online/archives/27677

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